中編3
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ホーム端

 前回の[トンネル]に続き、鉄道に関わるお話を投稿させていただきます。

 読みづらく、さして怖くないかもしれませんが、ご容赦下さい。

 その日、私はS先輩、後輩のYと3人でN線のMN駅にいました。

 時刻は昼時を過ぎて、14時過ぎだったのを覚えています。

 夜の作業の為の現場調査に手間取り、遅めの昼食を終えた後、駅の高架下にある保守用駐車場にて、昼休憩の時間で昼寝をしていました。

 すると、突如…

 ファーーーーーーン!

 キィィィィッーーーーッ!!

      ドンッ! 

 と、凄まじい警笛と、列車が非常停止する音。

 それに続く衝撃音を、上から感じ、目を覚ましました。

 すぐに警笛が

 ファーンファーンファーン

 と、短く三回。

 何度も繰り返し鳴るのです。

 これで、運転手が駅員を呼んでいる。と分かります。

 で、警笛の切れ目に悲鳴とざわめきが聞こえて来た頃、S先輩が

 「あー…やったな。」

 と呟き

 「縁起悪いし、ここも慌ただしくなるから引き上げるぞ。」

 と続けました。

 そこで、察しの悪い私でも人身事故があったのだ。と気付きました。

 私もYも、幸運な事に人身事故に遭遇した事が無く、

 何事かが起きた。

 とは分かりましたが、最初の音だけでは気づかなかったのです。

 事務所へ引き上げる道すがら、消防、救急、警察の各車両とすれ違い

 (あ、間違い無いんだな。)

 と確信したのを覚えています。

 S先輩が、

 「いつ聞いても嫌な音だな、断末魔みたいな感じで…」

 と、言っていたのが印象的でした。

 しかし、昼間そんな事があろうとも、私達は夜のその場所で仕事をします。

 嫌な気分ですよ。

 それは、当たり前の感覚ですよね?誰でも嫌なもんです。

 夜の作業に向かう車の中は、重苦しい空気が満ちていた様な気がします。

 現場に着いてもそれは変わりませんでした。

 むしろ、さらに重苦しい気がしたのは、私だけでは無かった筈です。

 そんな空気の中、ミーティングを行い、列車の営業も終わり作業に入っていきました。

 作業はホーム端から20メートル程の場所です。

 作業中、そのホーム端が気になるんです。

 何度もチラ見をし、何も無いのを確認したりして

 (当たり前だ、何もいる訳ねぇーんだ)

 なんて自分に言い聞かせたりしながら作業したものです。

 そうこうしてる間に、ますます空気は重苦しいものの、あまり気にしないように出来た頃。

 時間にして、作業開始してから1時間くらいですかね、ふと、またホーム端をチラ見してしまったんです。

 何もいません。

 いる筈が無いんです。

 だけど、何故か目が離せなくなりました。

 しかも、とめどなく涙が溢れだし、悲しい、やり切れない気持ちが溢れてきたんです。

 そして、次に続いた感情は怒りでした。

 自分が自分でなく、何か別なモノの様な感覚に陥りそうになった時、後ろから

「流されんな…飲まれるぞ。」

と優しく声をかけられたのです。

 フッと、その感情、感覚が消え、振り向くとそこにはS先輩がいました。

 先輩には何かが見えてるらしく、私が見てた方向に向かい…

 「俺達は付き合えねぇよ!」

 と吐き捨てるように言ったのです。

 すると

 ドンッ!

 と、昼間聞いた衝撃音が辺りに響き渡り、メンバー全員が振り返り、音の方向を見たようです。

 私は最初から、ホーム端を見ていたので、何も気づきませんでしたがね。

 その後は何もなく、無事作業を終える事が出来ました。

 帰りの道中、あの時振り返ったYから聞きました。

 振り返った時、駅の時計を目にしたそうです。

 時計の針は、昼の出来事と同じくらいの時刻を指していた。と…

怖い話投稿:ホラーテラー 鉄道員さん  

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