今もあるマンション…完結

中編3
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今もあるマンション…完結

続きになります。前作前々作を読んでいただいてありがとうございました。

この話で完結です。

突然、何の前触れもなく自分の目が開いた。眠気もなぜか吹っ飛び上体を起こしていた。

誰かの意思ではないが自分の意志でもない。ただ起き上り、目の前のものを見つめた。

そこにあるのはあのドア。こちら側には何もないが向こう側には顔が浮かび上がるあのドア。

それをなぜかただじっと見つめている自分。

と、あるものに気付く。

ドアのところにタヌキの顔…といってもサ○リオのキャラクターのような

可愛いタヌキのシルエットが浮かび上がってきている。

心の中で(なにあれ、可愛いじゃん。でもなんでタヌキなんだよ)と思いながら見つめていると、

だんだんとタヌキが鮮明に、鮮明に…

…違う!

違う!タヌキじゃない!

あまりの恐怖に凍りついた。

タヌキに見えたのは初めだけで

それはだんだんと姿を変え、ついには皮膚のただれた老婆へと姿を変えた。

恐怖のあまり目が離せない。でもこれ以上見てはいけないと頭の中でもう一人の自分が叫ぶ。

逃げたい!

でも、この部屋から出るためにはあのドアを開けなければならない。

ということは部屋からは出られない。声も出ない。

どんどんと老婆は鮮明になっていく。

もうだめだ…!!

そのあとどうなったのだろう?気絶してしまったらしく、気づくと朝だった。

急いで部屋を飛び出すと、前以上に必死に祖母に昨夜のことを話す。

他の家族は出かけてしまっていたので、祖母にだけ。

信じてくれたのかは定かではないが、もうあの部屋で寝ちゃだめだと言うと祖母は了承してくれた。自分も二度とあの部屋で寝るものかと心に誓った。

…それからまた喘息が起こり始めた。

どうしようもない状況、なんでこうなると思いながら過ごす日々。

でも、そんな日々に一筋の光が差し込んだ。

中学2年の夏ごろ、突然母親が何の前触れもなく引っ越しを決断した。

理由はわからない。ただ、近くにもっといい物件があるからとのことで

距離にして数100メートル先の一軒家に引っ越すことになった。

はっきり言って、心の底からほっとした。ついにこの家と別れられる。

自分も全力で引っ越しに賛成し、ほどなくして引っ越しとなった。

引っ越してからは喘息も少し落ち着き、回数も減り、いろいろなことが好転し始めた。

ちょっとぎくしゃくしていた親との関係も少し落ち着いたので

久々にゆっくりと話もできた。

その中で、ずっと疑問だったことを聞いてみた。

なぜあの時、自分がこの家は嫌だと言ったことを聞き入れてはもらえなかったのか。

いつもなら結構ちゃんと聞いてくれるはずの話なのになぜ一笑に付したのか。

母親から返ってきた答えは

「え、そんな話全然記憶にないよ?てか、そういうのはちゃんと言ってよ!」

だった。

そんなはずはないのに、母親は記憶に全くないという。

理由はわからない。

でも、考えてみればあの時の母親は母親であって母親ではなかったのかもしれないと

今の自分はそう思う。

話はここまでになります。ここからは勝手な考察です。

そのマンションで何かあったのかということや、ドアの老婆のことは

何一つわかっていません。

特に悪い話も聞かないですし、自分たちの後に入ったご家族はずっと暮らしています。

単純に自分と波長の合わない部屋だったということなのか。

はたまた本当は何かあった部屋だけれど関係者がかたくなに隠しているのか…

それはたぶん永遠に謎のままでしょう。

あ、そういえば一つ。住み始めた時にそこの管理会社の方にいわくつきの部屋の湿気

(その部屋は特に湿気が抜けなかった)はどうにかならないか?と聞いたことがありました。その時、担当の方がなんとも言えない苦笑いをしていたのを覚えています。

その時はただ、部屋の構造の関係で難しいのだろうなぁと思っていましたが、もしかしたら別の理由があったのかもしれないですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。また機会があれば別の話も投稿したいと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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いわく有る無し関わらず、波長の合う合わないは確かに有るきがしますね