短編2
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夜這いおっさん

今から1年程前に住んでいた、京都にあるマンションにそいつは現れた。

私は両親がかなり霊感あるらしく、私にも少しながら霊感があるんですが…そいつには本当に困りました。

最初にそいつが現れたのは、蒸し暑い夏の夜。

私はベッドでウトウトしていたのですが、ふと玄関から人の気配を感じました。

その部屋は10畳ほどの広さのワンルーム。

玄関を入るとすぐ右手にユニットバス、その奥にキッチン、左手は小さなテーブルを置いたリビングで、リビングの壁にくっつける様にソファーベッドを置いていました。

室内には仕切りはなく、あるのはユニットバスの扉と玄関の扉のみ。

なのでベッドからは玄関もよく見えます。

(誰か同じ階の人かな?まぁ、鍵はしてるし大丈夫ゃろ)

そんな風に考えていると、急に身体が動かせなくなりました。金縛りってやつです。

(ぅわ、あいつ幽霊やったん!?存在感ありすぎやろ!?)

人と間違えるくらい存在感ばりばりなそいつは…玄関を抜けるようにゆっくり部屋に入ってきた。

しかし、私はその時目を閉じたままだったので姿は見えませんでした。

そいつはそんな事お構い無しで何故かユニットバスに…次いでシャワーの音が。

まるで誰が身体を流しているような、妙にリアルな音でした。

暫くするとシャワーの音がやみ、そいつはユニットバスから出てきた。

そして、ゆっくりと私のいるベッドの方に近いてくる。

あまりにも存在感があるため、そいつの移動している場所が気持ち悪いくらいに分かってました。

そいつは私の頭のすぐ左手に立つと…いきなり仰向けになった私の上に覆い被さってきたのです。

存在感もさることながら、そのブニョブニョした肉質も妙にリアルに感じられ、あまりの気持ち悪さに思わず目が開いてしまいました。

そこにいたのは…ものすごく脂ギッシュで小肥りな、いかにも中年親父という感じのおっさんでした。

びっくりしていると、なんとそいつは私(女です)に唇を近づけてきたのです。

(キモすぎゃろ!?てか、絶対無理ゃから!!)

『ヤメロや、この変態キモ親父がっ!!』

思わず大声で叫ぶと…怯むおっさん、そのせいか金縛りがとけた私は力いっぱいおっさんを押し退けました。

するとおっさんは一瞬悲しげな顔をすると、スッと消えてしまいました。

その後、おっさんは私が引越すまで週1くらいの頻度で夜這いにきてました。

もちろん、そのたびに撃退しましたが。

今でもあのおっさんは住人に夜這いしているんでしょうか??

後の住人が女性でないことを祈るばかりです。

長くなりましたが、読んでくださってありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー ケイさん    

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