今回も、小さな旅館をやっている私の実家での話を一つ。
春・夏・冬…
シーズンには、学生の団体が合宿でよく何泊か泊まっていく。
地方の私立大学生から有名な国立大学生、中高生など様々だ。
特に大学生の文化系サークルの合宿などでは、大部屋に集まり酒を飲んではワイワイと騒ぎ回る事が多い。
それがあまりに過度な場合は、近所の住民からの文句が入る事もある。
その日の昼ごろ、近所に住んでいる、父とは知り合いの親父さんが家にやってきて言った。
「昨日の夜は、団体さんが泊まってたんかい?ひどく騒がしかったけど…」
知り合いなのでここまで率直ではないが、要約するとこんな感じだった。
その後はしばらく、軽い世間話などで花を咲かしてから帰って行った。
「話、何だって?」
母が父に聞いてみると、父は先程の話を要約して言う。
「泊まってた団体は二日前に帰って、昨日はかなり静かだったよね…?」
それは間違いないと、父と母も頷いている。
「まあ、良くある事だな」
父はちょっと笑ってごまかしていたが、母や私は「ハァ…」と溜め息をついた。
怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん
作者怖話