中編4
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事件の撮影

先月の出来事です。

僕たちは某大型スーパーで働いていました。

昼休みになると、同僚が「ちょっとこい」と僕を駐車場に連れて行きました。

駐車場には沢山の警察や救急車。野次馬の人だかりができていました。

僕「…なんかあったの?」

同僚「車の中でオバチャンが凍死してたんだって」

凍死したオバチャンの車には見覚えがありました…

近所のパチンコ屋に行くために、買い物もしないでスーパーの駐車場に停めていく…

迷惑駐車のオバチャンで有名だったんです。

何度も店長や警備員と揉めていたのを覚えていました。

僕「…なんで車の中に?」

同僚「あれみろよ」

店長が警察に事実聴取されていました。

そしてオバチャンの車には車輪止めがされています…

不運が重なった結果でした。

前日、我慢の限界に達した店長は実力行使に車輪止めをかけ…

たまたまオバチャンはパチンコでボロ負けし、所持金は数百円だったそうです。

そしてガソリンもほとんど入っていない車の中で一晩過ごし…

朝に発見された時は、すでに冷たくなっていました。

野次馬の人だかりはどんどん増えていきます。

他の同僚達も集まってきました。

「スゲー事件だな」

「うちの評判悪くなりそう」

そんな会話をしている時でした。

オバチャンが白いシートを被せられ、担架で救急車に運ばれていきます。

周りで見ていた僕たち野次馬は、携帯のカメラでその様子を撮影していました。

…僕は友人や家族にこの事を話す時、写真があった方が盛り上がると思っていたんです。

救急車がオバチャンの遺体を乗せて出発すると

野次馬の人だかりは徐々にいなくなっていきました。

その日の帰りです。

僕の携帯にやたらと非通知の着信がありました。

僕は非通知の拒否設定をしていましたが、着信履歴は残ります。

家に着いてもう一度、携帯を見てみました。

僕「…!!」

なんとオバチャンの遺体を撮影した写メが、僕の携帯の待受画面になっていたんです!

僕「なんだこれ!」

すぐに待受画面の設定を戻そうとしました…

プルルルル!

着信相手

非通知

僕「…え?なんで!?」

心臓が握り潰されそうでした。

非通知拒否なのに着信音が鳴っている…

しつこくコールが続きます…

携帯が鳴りやみました。

僕「…うわ!」

再び携帯を見た僕は驚きました。

待受画面の…

救急隊員に担架で運ばれているオバチャンの遺体…

それにかけられた白いシートの上半身が起き上がっているんです!

僕「なんで!?」

プルルルル!

着信相手

非通知

僕は恐怖のあまり携帯を放り投げました!

…しばらく恐怖に震えた後、「今のは目の錯覚では?」と思い落ち着いて

恐る恐る着信が鳴り止んだ携帯を見ました。

心臓が激しく鼓動し

胸に鋭い痛みが走りました!

僕「…そんな!」

待受画面の白いシートは、完全に担架から降りて…

こちらを向いていました…

シートの下からは青白い両足が見えています…

僕「…う!」

画面を見ていると、鼻血が流れ出しました。

僕は急いで携帯のデータフォルダを開き、オバチャンを撮影した写メを消そうとしました。

このデータを削除しますか?

はい

確かに消しました。

しかし待受画面はそのままです。

もう一度データフォルダを確認しました。

僕の目に信じられないモノが映りました。

消した直後…

再び同じ写メが保存されていたんです。

僕は恐怖のどん底に陥りました。

プルルルル!

僕は着信に驚き、携帯から飛びのきました。

僕「…また非通知か?」

恐る恐る見ると着信は同僚からでした。

僕「もしもし…」

同僚「おい!無事か?」

…どうやら同僚にも同じ事が起きていたようです。

同僚は携帯カメラの動画で撮影していました。

僕の話を聞いて、その写メが見たいと言ってきたので

写メールで送りました。

その直後です。

僕「…?」

待受画面が元に戻っていました。

着信履歴を埋め尽くしていた非通知も消えています。

データフォルダの写メも…

僕はすぐに同僚に電話しましたが、彼は電話に出ませんでした。

翌日…

彼は出勤してきませんでした。

無断欠勤…

音信不通…

そして行方不明。

上司が僕に聞いてきました。

上司「あいつ昨日の夜こんなメール送ってきたんだが、何か知らないか?」

僕「…!!!」

それは僕が送った写メでした。

昨日、僕が見たよりも近づいていました。

…僕は同僚のメアドを知っていました。

…同僚は上司のメアドを知っていました。

…上司は店長のメアドを知っています。

凍死したオバチャンは

店長に復讐しようとしているんでしょうか?

それともスーパー全体に復讐しようとしてるんでしょうか?

二日後、上司も行方不明になり

僕は無断でスーパーを退職しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 天気さん  

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