短編2
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雪女1

 むかしむかしの、寒い寒い北国でのお話です。

 あるところに、茂作(しげさく)とおの吉という、きこりの親子がすんでいました。

 この親子、山がすっぽり雪につつまれるころになると、鉄砲を持って猟に出かけていくのです。

 ある日の事、親子はいつものように雪山へ入っていきましたが、いつのまにか、空は黒雲におおわれ、冬山は人をよせつけぬかのように、あばぬかのように、あばれはじめました。

 ふきすさぶ吹雪(ふぶき)は、のぼってきた足あとをかき消してしまいます。

 二人はやっと、きこり小屋を見つけました。

「今夜はここでとまるより、しかたあるめえ」

「うんだなあ」

 チロチロと燃えるいろりの火にあたりながら、二人は昼間の疲れからか、いつのまにかねむりこんでしまったのです。

 風の勢いで、戸がガタンと開き、雪がまいこんできました。

 そして、いろりの火が、フッと消えました。

「う~、寒い」

 あまりの寒さに目をさましたおの吉は、そのとき、人影を見たのです。

「だれじゃ、そこにおるのは?」

 そこに姿をあらわしたのは、若く美しい女の人でした。

「雪女!」

 雪女は、ねむっている茂作のそばに立つと、口から白い息をはきました。

 茂作の顔に白い息がかかると、茂作の体はだんだんと白くかわっていきます。

 そしてねむったまま、しずかに息をひきとってしまいました。

 雪女は、今度はおの吉の方へ近づいてきます。

「たっ、助けてくれー!」

 必死で逃げようとするおの吉に、なぜか雪女はやさしくいいました。

「そなたはまだ若々しく、命がかがやいています。望み通り、助けてあげましょう。でも、今夜のことを、もしもだれかに話したら、そのときは、そなたの美しい命はおわってしまいましょう」

 そういうと雪女は、ふりしきる雪の中にすいこまれるように、消えてしまいました。

 おの吉は、そのまま気を失ってしまいました。

 やがて朝になり、目がさめたおの吉は、父の茂作がこごえ死んでいるのを見つけたのです。

 それから、一年がたちました。

 ある大雨の

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー 魚群さん  

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