短編2
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双子の兄

今回は、兄の嫌いなおばちゃんの話、って言いたい所だけど、、、正直言うと、よく覚えていなかった(笑)

兄が言うには、物心がついてから小学1~2年までの記憶が殆んど欠落してて、夢なのか現実なのか、大袈裟に言えば生きてるのか死んでるのかさえはっきりしない日々だったという。

ただただ、、、見る物聞く物全てが「怖かった」らしい。

もちろん、仏壇から白い手が出て来た、というような断片的な事は覚えている。

しかし、見たままを正直に話しているだけなのに母親からこっぴどく叱られる。俺からは殴られる(覚えてね~よ)

父親には話す気にもなれない(何故かおかしな顔の犬に見えていたとか(笑)後になって狐の顔だったと判明?したらしい)

兄はなんと保育園に通う頃から(人生ってきついなあ・・・・)などと考えていたそうな(かわいそ・・・涙)

母親から聞いてやっと〈嫌いなおばちゃん〉がいた事を思い出したそうだが、そのおばちゃん、実は俺たちが小学校に上がる前に亡くなっていた。

兄は言う。

「あの人、いつも姿が見えないくらい白い靄に覆われてたような気がする・・・・そういえば、その白い靄がいろんな物に姿をかえてたな、何か、とてつもなく怖い物に・・・すぐ目を塞いでいたから特に何が見えたとかいうのはないんだけど・・・」

母親によるとそのおばさん、40過ぎても子供ができず、そのうち主人に先立たれ寂しい人生を送った人なんだとか。

子供が欲しくて欲しくて、子宝に恵まれるという神社があると聞けば、日本全国どこへでも出かけていたらしい。

「ああ!」

突然兄が叫んだ。

「思い出した!あのおばさん俺の顔を見る度に、どう見てもそっくりや!気味が悪い、気味が悪い、と呟いてた!たぶん、心の中で」

兄が、説明のつかぬ異形の物と真剣に向き合おうと考えたのは、可愛い妹を守らないと、と考え始めたのと同時なんだって。

怖い話投稿:ホラーテラー 双子の弟さん  

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