中編5
  • 表示切替
  • 使い方

真実か妄想か

今から4年前。

ある人物と関わった。

僕は以前投稿したように、仕事上で人間不信に陥り1年近く仕事が出来なくなっていた。

ホラテラに、この事実を投稿した際に『自分の弱さ』を指摘された。

確かに、どんなに人に嫉まれようが憎まれようが自分が強ければ乗り越えることが出来たかもしれない。

でも、これが仕組まれた運命だったとしたら・・・

あなたは信じますか?

人間不信になり、パチンコに明け暮れていた。

それまではギャンブルさえしなかった自分は、借金までしてのめり込んでいた。

開店前に現金を握りしめて列に並ぶ生活が繰り返された。

ある雨が降る日、ある男性に声をかけられた。

『君、いつも見かけるね?』と眼鏡をかけた頭の良さそうな30歳前後の男性だった。

『はぁ・・』全然、知らない人。話かけてくるのは迷惑だ。そのときの自分は、そんな風にしか捉えることができなかった。最初の出会いは、確かこんな感じだった。

次の日も、また次の日もなぜか話し掛けてくる。正直、うざかった。でも、ある日あの一言で何もかもが逆転した。

『君、霊感あるでしょ?僕もあるんだよ。』笑顔で言ったのをはっきり覚えている。

『なんで、知ってんの?』と反抗期の学生みたいな口調で聞き返した。

『だって、換金所の横に座る老婆が見えてるでしょ?』と言う。確かに、座っている人がいるのは見えていたが僕には、ぼやけて薄くしか見えていなかった。

『老婆だったのか。』と、呟くと『仲間だね。』と言った。

仲間・・・久々に聞いた。

社会から見捨てられた人になった僕を仲間と言う人物が現れたことが、なんかうれしかった。が、信用はしなかった。

その日、パチンコはせずパチ屋の中にある漫画本などを大量に置いている隔離された部屋で彼と話をした。

彼は、趣味で本を書いていると言う。

【肉体と魂】これがテーマだそうだ。僕個人の考えとして、魂は存在しないというのが持論だ。

しかし彼の考えている持論は、以下の通りだ。

輪廻転生は存在し、魂のみが存在する上界と魂と肉体と魂が存在する下界がある。僕ら人間が住む世界を下界だという。

上界からすれば上界は天国で下界を地獄と考えられる・・・そういう話だ。

『罪を犯した者の地獄行き』は下界に残るということになる。地獄に行くわけではなく、地獄に残るらしい。

『天に召された』とは上界へ戻ることを許された魂のようだ。

そして驚いたのが、

『運命は、ほぼ決められている』ということ。

自分の道は自分で作る・・・そう思っていた。しかし運命が決められているとなると人生はつまらないものだ。

僕の人生も決まっているようだ・・・

しかし気になるのは、『ほぼ決まっている』ということだ。

それじゃ、決まってないのも同じじゃないか。そこは、すかさず問う。

『なぜ、ほぼなのか?』

その答えは、その日には話さなかった。

上界にいる魂は地獄に送られることがある。ということは何かしら問題のあった魂が行くか、志願して行く・・・ようだ。

そうなると上界からすれば下界の魂に勝手なことをされては困るわけらしい。

いわば下界は『刑務所』のようなところ。

下界に行った魂には上界と下界のルールを遵守してもらう必要がある。

つまり下界に留まる魂は、上界が決めた道筋通りに下界にいてもらわなければならない。

・・・運命【天命】上界から与えられた道筋の出来た命令だと彼は言う。

納得行く部分もあれば、納得いかない部分もあるが これはあくまでも彼の持論である。

その日は、その話を1時間ほどして彼はパチンコ屋を去った。

次の日、パチンコ屋に彼の姿はなかった。

今日は勝つ気がしていた。

案の定勝った。

パチンコ屋から換金するために出ると換金所の横に立っていた。

『あ、今日は勝つ日だったね・・・僕は負ける日だったからパチンコしなかったのよ。』

こいつ、先が読めるらしい。ハッタリか・・・確かめよう。

換金した金を財布に押し込み彼をパチンコ屋の漫画が置いてある部屋に連れていく。

いかにも信じているかのように『なんで、未来が見えた?』と問う。

彼は笑いながら『預言者気取りだよ』と答えて続けた。

彼は、天命で道筋を決められた魂は見ると今日、明日、1年先も見えるという。

しかし、それなら競馬や競艇や数字を選んで当たる宝くじなどで金儲けできる。

が、しかしそれは秩序を崩し上界が決めた道筋を外れてしまうそうだ。

これが、運命の道筋が不確かな『ほぼ』らしい。

その、道筋を踏み外せる人間が【超能力】を持つ人間だと彼は言う。

預言者や未来が見えるなどは基本的に偽者だ。しかし、本物なら自分や他の誰かの道筋を狂わせてしまう。

ちなみに、サイコメトリーは魂本体や魂が触れたものなどを上界が決めたシナリオ通りの本だと例えると、それ映像化して見れる能力だという。要するに、運命は本のようになっていると・・・

何やらわからなくなってきた。

人間(魂)の本?作者は、上界?そうゆうことか?

しかし、超能力など何かしら能力を持った人間が道筋(シナリオ)を書き換えたらどうなるのか?

最初に説明した通り、下界には人間に宿る魂と魂だけの存在がある。魂だけのやつは存在する意味がわからない。

が、彼はそれが属に言う【幽霊】などと言う。

その幽霊(魂)にはシナリオを持たされた魂だそうだ。

シナリオを持たされた魂は、シナリオ通りに行動する。

が、しかし魂だけの存在にも能力を持つ魂がいるらしい・・・。魂だけの存在には人間にある【欲】が基本的にないのだが、能力を持つ魂には人間同様【欲】があるそうだ。

人間に宿る魂にはシナリオに加え7つの大罪を背負わせているという。

下界の人間界を刑務所と例えた意味が少しわかった。

結局後に回された話の『人間に宿る魂や魂だけの存在が道筋を外れるとどうなるか?』

ここで人間界で言う死神の登場だという。

死神は人間の肉体から魂を引き離して魂を喰らう上界の使いだという。魂だけの存在も同じく喰らうらしい。

死神は【死司(シシ)】と言うらしい。

ここで疑問なのは、シナリオを書き換えることができるのは能力者だとして それに知らずして関わった魂はどうなるのか?ということ。

それは意図的で、あるかないかという判断らしい。

曖昧だな。

しかし、なぜこの話を僕に持ちかけたのか真意を知りたくなった。

『君に語ったのには理由がある』と心を読まれたかのように話を変えてきた。

『私は、君に意図的に話をしているのだが・・・この意味がわかるかな?』と言う。

彼の言わんとしてることは、長々と語った話は実在するという意味に聞こえた。

『君は、能力者だ。つまりこれから先今以上の能力を身につけても悪用できないという意味だ。』

なるほど。

悪用すれば、真実を知っている以上 死司に狙われるということか。

『ところで、今日パチンコで勝つのは知っていたのかな?』

と笑いながら質問される。

『さあ、先のことはわかんないからね』と答えた。

怖い話投稿:ホラーテラー にゃんちゃらさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ