双子の兄 匂いと臭い 3

短編2
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双子の兄 匂いと臭い 3

心霊スポット巡りといったって、所詮は小学6年生のする事。

せいぜい自転車で行ける範囲内に限られる。

だが、、、何度も言うようだが兄は〈見える人〉なのだ。

近場でもスポットはたくさんあり

(あそこだけは近寄りたくない!)

という場所も何か所か知っていた。

タクシーに乗り込んだとたん、死霊の気配が消え失せた。

兄がその時

(海の〈におい〉と関係があるのでは?)

と考えたのには理由がある。

兄はそれまで

海にひそむ死霊の、あまりの多さに、すさまじい恐怖を感じていた。

(奴らがもし海から出て来て、大勢の人間にとりついたらただじゃ済まない!)

と危惧していたのだ。

「もしも、俺の見える光景が他の人にも普通に見えたら、海水浴なんか誰もしなくなる!」

そう豪語するほど、海って怖い所らしい。

そんな海にうじゃうじゃいる亡者たち

何故かバリアーでもあるかのように海に住み続ける。

何とか海辺には上がれても

車に乗っただけで、、、たぶん、、、海に引き戻された。

霊というものは言うまでも無く、鎖などでつながれてはいない。

本来どこへでも行ける筈なのだ。

兄は懸命に考えて、そして気付いた。

タクシーの内と外

違うのは

(潮の香りがするかしないか、ただそれだけじゃないか!)

少年の頭でさらに必死に考える。

そして、、、まず最初にひらめいたのが

(ファ○リーズの香りで悪霊を撃退できないか?)

という事だったらしい(笑)

キャンプのあった日の翌日から、兄は夜中にちょくちょく家を抜け出した。

俺には理由を言わず

「ちょっと出てくる」

と言って出掛けるのだが

夜の11時に子供がどこに行くっていうんだ!

聞いても何も答えない。

(まあ、兄ちゃんは俺と違って賢いからいろいろあんだろう)

くらいに思っていた。

そんなある日

兄が明け方の5時まで家に戻って来なかった。

さすがに

(こいつ死んだか?)

と心配していたところ

顔面真っ青の兄がへろへろになって帰って来た。

「失敗した、とりつかれた!」

か細い声でそう言うとベッドに潜り込んだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 双子の弟さん  

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