短編2
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電気のヒモ

あれは小学生の頃。

まだ弟たちと一緒の部屋で寝ていた時、

電気を消すのはすぐ下の弟の係だった。

みんながお布団にもぐりこむと、

弟が立ち上がって消してくれた。

弟のエライところは

夜中に誰かが起きると

一旦起きて豆電球つけてくれるのね。

あたしはトイレもついてきてもらってた。

ドアの前で待っててくれて、

一緒に戻ってくると

あたしがお布団入った後に

また電気を消してくれるの。

そんな弟がある日を境に

電気も消してくれないし、

夜中起こしても起きてくれなくなった。

そういう時は母が電気を消してくれるし、

トイレもついてきてくれたんだけど

ある日、母が部屋にいない時があったの。

トイレいきたいな、って起きて、

隣の弟をつついてみるんだけど

ぐっすり寝てるのか反応がない。

仕方なく立ち上がって

真っ暗で目がきかない中、

手探りで電気のヒモを探す。

このへんだってはず…

ってとこらへんを

何度も手繰るように、

ヒモを掴もうとするんだけど、

なかなか見つからなくて。

もーぅ。ヒモどこぉ??

って

腕を少し大きく振った直後、

がし。

…っと、

暗闇の中誰かとがっしり握手。

え?

えええええ?!?!

一瞬固まったあと、

びくっと手を振りほどいて

一歩下がったあたしに、

弟が布団から少し顔を出して、

「だからやなんだよ。。。」

弟の顔を見下ろしながら、

ゆっくりしゃがんで

そのままお布団に潜り込み。。。

心臓がバクバクして、

眠れないんだけど

隣の弟に話しかけるのも怖くて、

背中をぴったりくっつけたまま

母が来るのを待ちました。

後日弟から、

夜中に豆電球をつける度に

誰かに手を掴まれていたこと、

でもその手が

電気のヒモまで誘導してくれたので

初めは母だと思っていたと言うこと、

母ではないとわかってからも

怖くはなくあまり気にしていなかったけれど

ある日、手が変わったと…

「強く掴まれてびっくりして、

今までの手と違うって気付いて怖くなった」

って、

それから電気のヒモを

暗闇で探すのが怖くなって

夜寝たふりしてたらしい。

それからどうしたかの記憶は

あまりないんだけど、

一人暮らしするようになってから

あたしも弟も、

電気はどな部屋も

リモコンで操作できるやつにしました。

怖い話投稿:ホラーテラー あやみかさん  

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