中編6
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霊道マンション

あんまり怖くないけど頑張って書きます。

僕は霊の存在は信じている方ですが、まったく見たことも感じたこともありませんでした。

ちっちゃい頃、金縛りのようなものにはなったことありますが。よく言う疲れからくるもので、脳は起きてて体は寝てるというパターン。

これが金縛りか〜なんて思いながらも

「んなぁーー!!」

と叫びながら、むりやり体を起こすと、父がビックリして

「うわぁっ!何だ!?」

と僕に言いました。

僕「いやぁ今金縛りになって…めっさ怖かった…」

父「そんなとこで寝てたお前の方が怖いわ、居たのか」

僕はなぜかリビングのカーテンの裏で身を潜めて寝ていました。なぜそこで寝てしまったのかは今だに謎ですが。

そんな僕も立派に社会人になり、家を出て一人暮しを始めました。

けっこう綺麗なマンションで、間取りは2DK。一人暮らしにしてはちょっと広いかなと思いながらも、一目見て気に入ってしまい、家賃は高めだったけど思いきってそこに決めました。まぁなんとかなるだろうと根拠もなく。

ワクワク感を漂わせながら部屋をコーディネイトしました。ベットの位置は窓の側で決まりです。テレビは寝ながらもバッチリ見える位置に。あとは適当に。

快適でした。大家のおばちゃんも良い人で、すごく良くしてくれました。たまに、一人暮しの僕に気を使ってか、一緒に管理室でご飯でもどう?とランチのお誘いを受けました。けして関係を持ったりはしてませんよ!絶対に!間違っても…

しかし

そんな新生活にも慣れてきた頃、ソレは何の余興もなしに現れました。

だいぶ部屋らしくなってきたある晩。ふと目が覚めました。外の静けさからして、まだ夜中だと分かりました。

まだ寝れるな、と思い寝ようとしたのですが、やけに意識がハッキリしててなかなか眠れませんでした。

その時です。窓の方から部屋の中に向かって、何者かがベットの上を

ギシ…ギシ…

と横切ったんです。

一瞬にして体が硬直しました。緊張感が半端なかったです。これは泥棒かなんかなのか…それとも…。

ついに僕も霊体験をしてしまったのか。前から、幽霊見たい!と思っていた。でも実際、ついにその瞬間になって僕は思った。

怖い。

僕は、目を開けなきゃという使命感が働きました。僕はソレは人ではないという確信がありました。なんとなく。

ついに見えてしまうのか。本当に居たらどうしよう。でも見たい。でも悪霊かも。でも…

僕の頭の中では天使と悪魔が戦っていました。

この場合、悪魔の方が

悪魔『見ちゃえよ〜、見ちゃえばいいじゃ〜ん、ちょっとぐらいいいじゃ〜ん』

天使『見てはダメです!呪われでもしたらどうするの!?』

僕は悪魔に負けました…。

確かめなければ!

勢いよく跳び起きました!

…しかし誰も居ませんでした。シーン…と静まり返った薄暗い部屋と、廊下に続く扉が少し開いていただけ。寒気がして、めっさ怖かったので急いでテレビを付けました。

やはり夜中なので通販の番組ばかりです。でもそれだけでも、ビビッてる僕にとってはとても心強かったです。ひたすら通販番組を見ました。まったく興味がない僕も、ちょっと欲しくなったぐらいです。

だいぶ気持ちも落ち着いてきて、現実に戻り、通販も飽きてきた頃、自然とまた眠りに落ちました。

これが僕の、人生初めての霊体験です。このマンションには、その後2年くらい住んでいました。不思議な体験は、これで終わりではありませんでした。

ペンネームの由来は、かの有名な除霊タレント O田M道 から頂きました。

前回、けっきょく霊を見ることができず、なんの山場もない感じになり、仕方なく天使と悪魔を登場させてしまったことをお詫び申し上げます。

でも、この話には続きがあるんです。

一人暮しも半年を経て。安い給料のわりに、高めのマンションに住んでしまった僕は、すでに後悔のド真ん中に立っていました。

実家から、大量のインスタントラーメンが送られてきていました。

米をください…

地元の友達からも、大量のカップラーメンが。

米を…むしろ肉を…

でもありがとう…

生活に苦しみながらも、人の優しさを感じながら、なんとか生き延びてた僕だが、多少の霊体験も気にしなくなりました。

窓をコツコツ叩かれても、明日の食事が気掛かりです。

部屋の隅から、誰かに見られているような気がしても、僕には明日が見えません。

どうせ見えないからいいやと。人生は幽霊より怖いことあるんだと。

人間誰しも、極限まで追い込まれると、ちっちゃいことは気にしなくなるもんです。

ワカチコ ワカチコ

そんなある日、疲れきって泥のようにベットで寝ていた僕は、ふと夜中に目が覚めました。

その時、何と言うか異様な空気を感じたんです。いや〜な感じがしました。

すると

パタパタパタ…パタパタパタ…

と足音が聞こえてきました。部屋中を、誰かが走り回っていました。

うわ〜これは怖いなぁ…

僕は心の中で、無理無理無理!と叫びました。

瞼に力が入ります。体も恐怖でブルブルしていました。

そしたら部屋を走り回っているヤツは

パタ パタ パタ!

とベットに近付いてきました。ヤツは物凄い勢いで足元に移動しました。

僕は心臓がキューッてなって、顔からサーッと音を立てて血が引いて行きました。

もちろんヤツは足元の方からベットの上によじ登りました。

そこからじわじわと、上へ…上へ…。

爪先から徐々に、スネ、フトモモと金縛りになるのが分かりました。

ちっちゃい頃、カーテンの裏で感じた金縛りとはまったく違い、これが本当の金縛りか〜、と この時初めて気付きました。

下半身は完全に自由を失い、ヤツはもう顔の真上まできていました。

その瞬間、両手で肩を押さえ込まれたんです。

やっぱそうなるのねー!

僕は心の中で叫びました。

その時です。

僕に天使と悪魔が再び舞い降りました。

悪魔『見ちゃえよ〜目ぇ開けちゃえよ〜チャンスじゃんよ〜』

さすがに今回はヤバイと思います。怖いです。

天使『……見なさい!見るのよ!さぁ勇気を出して!』

まさかの意見一致ということで、僕は目を開けることを決心しました。迷いはありません。念願の夢を叶える時です。

開けるぞ〜開けるぞ〜

サッ!と目を開けました。そしてサッ!と閉じました。チラ見です。

居た…

その0.1秒のチラ見でも、僕の澄んだ瞳はハッキリとヤツを捕らえました。

女です。黒髪のオカッパの女です。いやボブカット。

顔は影すぎて見えませんでした。

霊を見たということで、もうヤツには用はありません。

後は金縛りを解くだけ。

動けー!気合いだー!強い意志だー!

指先だけでも動いてくれればと必死でもがきます。

動けーっ!!

「んなぁーー!!!」

勝ちました。僕は動きました。急いでテレビを付け、通販を見ます。

汗ビッチョリでした。

部屋の中を見渡してもヤツはもう居ませんでした。バッ!と後ろを見ても居ませんでした。

しばらく挙動不振な動きをし続けました。動かせる体をヤツに見せつけるかのように。

そして疲れきってソファーで寝ました。

次の日、その時の勇姿を職場の仲間に話しました。

仲間 「お前のその見なきゃっていう思考は何なの?」

僕は前から言ってみたかったあの言葉を、ウマ面のそいつに言ってやりました。

「そこに霊が居るから」

バッチリ決まったので、3回言いました。

僕は国語が2だったので文章を作るのがかなり下手だと思います。

読んで頂いた方、感謝いたします。

終わりと思いましたか?

実はこの後、新たな急展開を迎えます。

次回完結。

続く。

怖い話投稿:ホラーテラー 本田無道さん  

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