短編2
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友情パワー

大学時代の話。

友達にMという子がいた。

大学に入ってから知り合った私達だが、なにかと気が合い、よくお互いのアパートに泊まりあったりしていた。

ある日、いつものように私はMの家にお泊りに行った。

取り留めのない話で盛り上がり、気づけばもう夜中。

私「やっべぇ、明日1限必修じゃんw起きれないよ」

M「例え起きても、あんたは行かんやろw」

留年ギリギリの私をからかいつつ、Mはベッドに、私は床に敷いた布団に入り眠りについた。

どのくらい眠ったかはわからないが、ふと私は目を覚ました。

あたりはまだ暗い。

「Mを起こさなきゃ…」

寝ぼけてボーっとした頭で、なぜか私はそう思い、ベッドで寝ているMを起こした。

ハッとしたように目を開けたMは、私の顔を見て急に泣き出した。

その涙を見て焦った私は「ゴメン起こしちゃって…」と謝った。

なんで起こしたんだろ、寝ぼけてたんか?なんて考えながら。

するとMは首を振った。

「違うの、あのね…」

少し落ち着いたMは、微かに震えていた。

「今ね、金縛りにあってて、女の人が近づいてきてたの…」

まさかの言葉に寝ぼけた頭が一気に覚める。

私「…夢じゃね?だってM、寝てたし」

M「怖いから目つぶってたんよ。でも気配でわかるやん?」

わかるやん?と言われても、私にはまったく霊感がない。

見たことも感じたこともないし、金縛りにあったことすらないのだ。

Mを起こした時だって何も見えなかった。

首を捻っている私に構わず、Mは続けた。

「動けんし声も出んし、私ずっと心の中であんたの名前呼んどったんよ。

助けて!って。そしたらホントに助けてくれた」

びっくりした。

私が「Mを起こさなきゃ」と思ったのは、Mが心の中で助けを求めていたからなのか?と。

この事を言うと、Mは「以心伝心やねぇ」と微笑んだ。

Mはよくこういう怖い体験をするらしく、彼氏と一緒に寝てる時にも同じことがあり、心の中で彼氏の名前を呼んだが彼氏は爆睡したままだったらしい。

(その時は気合いで身体を動かし、自力で生還したそうな)

なんだか感動した私達は「友情パワーやね!」と盛り上がり、朝まで喋った。(そして私は必修を落とした)

偶然で片付けられる話ではあるが、私はMとの絆が生んだ奇跡だと思っている。

幽霊に気付かない私が、Mの心の声に気付いたのだから。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名MAXさん  

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