長編8
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入れないはずの山

初めて投稿致します。お手柔らかにお願いします。

自分はあまり学がないので文章は拙いと思いますがご勘弁下さい。

二十年近く昔の話です。まだ高校生だった自分達三人に起こった事です。

このサイトを最近人づてに紹介されて楽しんできました。ようやく投稿する気になったので書きます。

まず僕達三人の紹介をします。

自分 一人称は僕と書きます。当時は見た目もボクチャンでしたし、真面目で素直で明るいどこにでもいる高校生でした。

ちょっといい家の出、いわゆる名門と言われた家系だったのでボクチャンです。あだ名も同じく。

雅治 

 親友の一人で福山雅治似の美形。

こういったイケメンは大抵鼻持ちならない輩が多いと言われる中、こいつは違った。

正義感に溢れ、カリスマ性を持ち、親分肌の我々三人のリーダー格。

趣味は何故か盆栽。その関係で僕の祖父(当主)とはとても仲がいい。

ジミー

 ジミー大西似で角刈り。ヤンキーでも普通もっとおしゃれな髪型があるだろうと思われるだろうにこの髪型を三年間変えなかった。

巨漢で喧嘩最強。大変気が強いけど、とても優しい。

こいつも変な趣味があった。伝書鳩だ。鳥嫌いの自分には理解出来なかった。

二年の夏休み、僕達三人は僕の叔父さんの分家の田舎に一週間の旅行に行った。

叔父さんは名門と言われる我が家の長男。家を継ぐはずだったが、何故か継がず、少し離れた山奥で家族を作って分家している。

出版社に勤務していて、人柄は大変豪放で洒脱な誰からも愛される人物家だ。

場所など色々特定されないように方言や地名、極一部フィクションを挟みますね。

山間に位置するその叔父さんの住む一帯はとても綺麗な自然に囲まれていた。

勇壮な岩や、滝、水量の多い水源地で知名度もある川が流れており、鮎が沢山釣れる。

今回の旅行はそういった自然と鮎が一番の目的だった。

僕的にはこの叔父さんが大好きで久しぶりに会いたかったってのもある。

到着して1日目は取り敢えず歓迎されて、雨続きで取れなかった天然鮎は無かったものの、叔母さん(高岡早紀似)の質の高い理解を美味しく頂いた。叔母さんは調理師でプロ並み。

2日目。

雅治の提案で鮎釣り。叔父さんに連れられて釣りまくった。

川辺で塩焼きを食べた。僕達は何年分の鮎を食べた。一生忘れられない味になった。

3日目。

従姉妹の美香ちゃんとその友達と遊んだ。

この話では関係ないので割愛。

さて4日目。

 ここからちょっと暇になる。

雅治「叔父さんも叔母さんも仕事でいなし、美香ちゃん部活だし、家誰もいないし暇だな」

ジミー「ここって田舎だから珍しい鳥もいそうだし、まだまだ秘境みたいな場所あるかもしれんぞ。」

僕「父さんが言うには子供の頃叔父さんとよく探検したらしいよ。

凄い田舎だけどどこ探検しても同じような山、山、山だから、ほとんど知らない場所はないらしいよ。秘境だけど、現代では秘境ではないって事らしい。」

ジミー「つまんねぇ」

雅治「叔父さんが子供の頃って事は行動範囲限られてる訳じゃん。

俺達高校生だぜ、ジミーに至っては原子力チャリのライセンスだけはある。」

ジミー「なぁ、叔父さん家原チャないんか?」

僕「DIOがあるよ。叔父さんは近所で飲む時は原チャで移動するんだ。

帰りに風を切って酔いを覚ますんだって」

雅治「じゃあガソリンがあれば出れる訳だな。

僕「三人は無理だよ。ジミーは力士みたいな巨漢だぞ」

一時間後。

DIOにロープをつないだママチャリ完成。

かごにはアルミに包まれた弁当の残りのおかずつきのお握りと水筒。

昼前に出発という事で小さなガキの冒険に出た。

ガソリンさえ入っていなかったら未来は変わったんだと思う。

 舗装されていない林道を一時間程走ると、さらにゴツゴツした狭い林道になっていった。

あまり地元人も立ち入らないような轍のない道。

僕達はあんま後先考えないんだよね。バカばっかりだから。

「パンッ」

「ガンガン!ガンガン

僕のママチャリは当然パンクした。前の2人は気付くのが遅れ、チャリの後輪は金属が見えるまで使い物にならなくなった。

移動手段をなくした三人は暫く休憩しようという事でポイントを探す事にした。

幸運にも5分程度で人の手入った形跡のある場所を見つけた。

太陽の調度真下に見える、小高い山に見える神社。

雅治「おっ、こんな山奥に神社があるじゃん。

ちょっと見てみようぜ。あんま人来ない感じするから遺跡とか変わったもんがあるかもしれんし。」

ジミー「そうだな、あと少ししたら昼飯に調度いいし」

僕「ちょっと気味悪くないか?こんな山奥で地元の人も来てない感じだぞ」

雅治「だからいいんじゃねぇか、ボクチャン。

人が来ないから発見がある」

訳の分からないリーダーの意見に賛成して神社に続く道を行く。

ジミー「なんだ、普通の神社だな。」

雅治「期待がはずれたかな。」

何処にでもある神社と変わらないし、主祭神もメジャーな神様。

雅治「あれ、山の頂上の方にも鳥居があるぞ。

まだ冒険は終わらないって事だ。」

ジミー「せっかくだから行くしかないでしょ!」

僕は流されやすいのでただ先を行く2人についていく。

暫くすると道が獣道のように悪くなる。しかし先には黒っぽい鳥居が見える。

着到。

唖然とした。世間知らずで宗教観も適当で、馬鹿な自分達でも解る。

異形。

異様な鳥居。鳥居の柱は昔は赤かっただろう名残りで所々に朱色の痕跡が残り、殆どは黒か茶色っぽく変色し、年月を感じさせる。

問題はそこじゃない。柱は蛇が巻き付いてるんだ。

生きているんじゃなくて作り物、しかも最初からぶっとい大木を削って蛇の彫り物と同化した鳥居。

雅治「おー!すげぇ。かっちょいいが。クオリティ高いで。

手間かかったもんだで」

ジミー「凄いな、なんでこんなんが山ん中にあるんだ?」

僕は足の裏がビリビリして、それが首まで伝わってくる感覚に襲われた。

ゾゾゾゾー!とした。

良く見ると蛇はそれぞれ頭が多い。空想上の気持ち悪い蛇だ。

雅治「取り敢えず中入ろう」

中に入ると森が不自然になくった形状の場所だった。

真ん中にでっかい菱形の岩が土に刺さっている。

岩には三本のごついしめ縄と幾重にも神社にある白い短冊みたいな糸?が張り巡らされている。

雅治「なんだろ?どう考えても曰く付の石だな」

ジミー「なんぼ俺達でもアレはよう触らんわ」

僕「良かったー、お前等が何かしそうで怖かったけど何もせんならそれでいいわ」

リュックからお握りを取り出す。

その時森の方が視線を感じた。

赤い何かがぼやっと光ってる。

ジミーが気付いて「熊じゃないか?

雅治「熊の目は光らないし、1つじゃねぇよ」

僕「なんか怖いよ。」

!!??。

!!!!

でっかい一つ目の蛇が近づいてる!! ドラム缶位太い。

でも不思議なのは半透明で透けて見える。

腰が抜けるってあるんだよね。マジで立てないし、言葉も「アウアウ」くらいしか出ない。

歯が噛み合わなくてガチガチ震えてジーンズは濡れてあったかくなる感覚を覚えた。

雅治だけは少し肝が座ってるせいで腕の力で前に進めた。

きっと必死だったから分からなかったんだと思う。

さっきのやばそうな岩にたどり着いて、しめ縄にしがみついて立ち上がろうとしている。

「ブチッ」

転びそうになってさらに違うのも掴む

同じ要領で岩に着いている全てのものを剥がしてしまった。

「どゅー」

超低音のドとボを合わせたような音が辺りに響き渡る。

半透明な蛇がゆっくりと帰って行く。

放心状態の三人。

夕方になろうかって時に皆話せて歩けるようになった。

雅治「なんか疲れた。

しかしあのしめ縄で助かったんかな?

あの岩は守り神かなんかか?」

ジミーも僕も呆然と頷くだけ。

雅治「なんとかして帰ろう」

ジミー「ああ」

僕「うん」

神社の近くの小川で尿に染まったジーンズを笑いながら洗った。

少し落ち着きと笑顔を取り戻し、ノロノロと三人乗りで叔父さん宅に帰還した。

叔父さん「遅いと思ったらワシの原付引っ張りだして、どこまで行っとった?」

原チャで出掛けてた事や遅くなった事は一切責めず笑顔で聞いてきた。

「探検しとった。神社まで行ったよ」

叔父さん「そうかそうか。まっ早よ風呂入って飯にしようや」

鮎を食べながら今日の出来事を話せないまま食事は終わりに差し掛かる。

僕も話したいけど、信じて貰えないだろうから話さなかった。

叔父さんは晩酌とテレビを観ながら「○○神社は久しぶりだったろ?神主さんはおったか?あそこはお前の親父とよく行ったもんだ」

雅治「変な神社だったなぁ。鳥居に蛇だぜ。ここら辺りではあんな神社あるんだねー。」

叔父さんはこっちを見て目を丸くしてる。

口もあけたままで、顔は真っ赤になったと思ったら真っ青。

豪快な叔父さんが震えて言葉が出て来ない感じだ。

「それ、本当か?

入り口はないはずだぞ!!

菱形の岩があったか?」

ジミー「うん、なんか不気味な岩にしめ縄がかかっとった」

叔父さんはその後根掘り歯掘り聞いてきた。

でも流石にでっかい一つ目の蛇の話しはあまりに突拍子もないのでみんな黙っていた。

叔父さんはしばらく考えこんで

「どこに行ってもいいけど、二度と行ったらいかん。よくない場所だから。

分かったな」

初めて叔父さんに強くしかられてなんだかその日は疲れたのもあって、みんなすぐに寝てしまった。

五日目払暁。

 叔父さん「おいっ起きろ!

雅治が可笑しい」

早起きした叔父さんが僕達の寝所の前を通ると凄い獣臭を感じて、部屋を覗いた。

雅治が真っ赤な目をして蛇のようにくねくねとしている。ただ、鼾もしており、目を開けながら眠っているようだった。

叔父さんが慌て叩き起こそうにも起きない。

そしてジミーと僕を起こして、

「昨日何があった!!」と怒鳴った。

ありのまま大蛇の話しをした。

叔父さんは

「かあさん!すぐ●●さん呼べ!○○神社の神主の!」

まくし立て指示すると自分は昨夜の晩酌の日本酒の一生瓶を持ってきて雅治に頭から浴びせた。

さらに生米を持って来て口に含ませ、水戸泉(古いから分かるかな?)の土俵入りのように塩に浴びせ、最後に神棚にある白い陶器に入った酒を雅治の口に押し入れた。

雅治「びほっ!!

ごほっごほっ?!

蛇が!蛇が!」と叫んでいる。

暴れだす雅治を巨漢ジミーが羽交い締めにしたらようやく落ち着いた。

叔父さん「はい、来週には出勤しますので、はい、急な事で申し訳なありません。」

叔父さんは欠勤の旨を電話しているようだった。

「お前達急いで水風呂入って車に乗れ!

あと○□(僕の父)に連絡しとくから、すぐ親父(叔父さんと父の親で祖父で現在の当主)と来てもらう。急げよ!」

車に乗せられ○○神社に到着。

叔父さん「すいません、急に」

神主「事情は聞いたからいいです。すぐに着替えさせて!」

巫女さんの男バージョンのような格好にされる三人。

僕達はただこれは大変な事なのだと流石に悟っていたので全てなすがままに流されていた。

社に入って二時間くらいお祓いのようなものをされた。

 三人とも終わったと安堵した時

「応急措置は終わったからこれから昨日の神社に行く。」

神主がまだまだ厳しい表情で言う。

叔父さん「随分久しぶりに行きますが入れるでしょうか?」

神主「分かりません。ですが行ってみない事には。

まだ昨日なら道の香が残っているかもしれません。

それなら案外入れるかも」

そこで祖父と父が到着した。

続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー ボクチャンさん  

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