中編4
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昨日の夜の話です

彼氏の部屋で 二人で寝ていました。

午前2時過ぎに ふと目が覚めました。すると、隣にいるはずの彼氏の姿がありません。

どこにいったんだろう?

探そうと思って 起き上がろうとしたとき ベッドの下から物音がしました。

ちょっと怖くなった私は 音をたてないように辺りを見回しました。

部屋の角にある鏡を見ると ベッドの下で 私の下着を身に付け、私の寝ている辺りを一心不乱に舐めている彼氏の姿がありました。

今なんと言って彼氏に別れを切り出そうか悩んでいます。

今日は彼氏はバイトです。

私は友達の家に避難することにしました。

とりあえず 彼氏が帰ってくる前に 自分の荷物を取りにいくことにしました。

今思い返すと 彼はよくふざけて私を舐めたり 噛んだり 汗をかいたときなどは 脇の臭いを嗅いだりするような人でした。

そのときは 彼はSなので 嫌がることをしてからかっているんだと思っていました。

今考えると怖いですが…。

彼氏の部屋で荷物を整理していると 下着がいくつか見当たらないことに 気がつきました。

確かにここで洗濯した記憶があります。

いろいろ探してみると 押し入れの奥にだいぶ古くなった紙袋があるのに気がつきました。

なかを覗くと 私の寝顔の写真となくなった下着がありました。

下着はおそらく 洗う前に取り出されたもののようです。

私の写真にはNo.6と書いてあり、他にも女性の下着と写真があります。

おそらく彼の元カノなんだとおもいました。

それ以上は唾の臭いがきつく、調べられませんでした。

彼はとてもやさしくて非の打ち所のないような人でした。

今はとても悲しい気持ちでいっぱいです。

少し前に彼からメールが来ました。今どこいるの?的な内容でした。

突然いなくなった私を心配しているんだと思います。

怖かったのですが 返信しようかと思い、友達に相談しました。

やめといたほうがいい と言われ少し気がかりでしたが 無視することにしました。

数分後また同じようなメールが来ました。

友達には内緒で落ち着いたら話すと返しました。

わかった。もし俺が傷つけるようなことしたならごめん。待ってます。と返信がありました。

なんだか涙が出てきて いつもの優しい彼のまんまなんだなと、しみじみ痛感しました。

あんなときに私が起きたばっかりにこんなことになってしまい 後悔の気持ちが どんどん溢れてきました。

しばらくなにも考えられなくてぼーとしていると 友達にお風呂に入ることを勧められ 素直に従うことにしました。

お風呂から上がると携帯に40件近い着信とメールが一件ありました。

驚いて確認すると彼の名前がずっと並んでいました。

怖かったのですが 突然の事に意味がわからず メールを確認することにしました。

そこには お前あの袋見た?順番変わってるからすぐわかんだよ。今からそっちいくわ とありました。

怖くて怖くて仕方なかったのですが 友達と彼氏にはなんの繋がりもないため 家を特定するのは無理だと思うし ここにいれば安全だと思っていました。

数十分後 チャイムが鳴り友達がドアのほうへ確認に行きました。

知らない男の人が立っているとのことで 先ほどのメールのこともあり 確認に行きました。

すると間違いなく彼がそこにいました。私は恐怖のあまり悲鳴をあげてしまいました。

それを聞いた彼は 狂ったようにわめき散らし ドアを蹴ったり殴ったりしはじめました。

私は怖くて ずっと震えていました。その間に友達が警察に通報してくれたため 無事にすみました。

すみません。なにかあればまた明日落ち着いたら報告します。

今日は学校を休みました。

昨日友達の家近くで彼氏が逮捕されました。

ストーカーなどの事件に対しては 警察はあまり動いてくれないイメージがありましたが、担当の女性の警察官の方には 大変よくしてもらいました。

昨日彼の行動について知らされている限りのことを報告します。

彼は最初のメールを送ったとき 私の部屋にいたようで パソコンや日記等から 私が行きそうな場所を調べ、電話するなどして探していたそうです。

電話を受けた友達の一人が 友人宅を教えてしまい 昨日の事件になりました。

彼の家を調べたところ たくさんの下着や盗聴器なども発見されたそうです。

私の部屋にも仕掛けられている可能性があるため 調べてもらったところ 盗聴器などの他に 家具や食器類などから 大量の唾液が発見されたそうです。

彼は友達の家に来たとき 折り畳みナイフを所持していたそうで あのままドアを開けていたらと思うと 震えが止まりません。

彼は過去に数回このような事件を起こしたことがあったそうです。

彼は年上で 私にとって初めてできた彼氏でもありました。

連れていかれるときの 美子にあわせろという彼の叫び声が頭を離れません。

彼は寂しがり屋で 会えないときは 毎日のように会いたいと言ってくれました。

私に拒絶された彼は 今どんな気持ちでいるのか考えると悲しくなります。

私が彼の癖を理解してあげればよかったのではないか とたまに考えてしまいます。

警察の方からは 彼をあなたに近づけないようにすることができると言われましたが 考えさせてくださいとだけ答えました。

引っ越しと携帯の番号を変えたりすることなど いろいろアドバイスもいただきました。

しばらくは友達の家に泊めさせてもらうことにします。

さっき彼からメールが来ました。

こんなひどいことをしてしまってごめん。

でも お前のことを誰にも渡したくないくらい好きなんだ。

ずっと愛しているよ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿山名美子さん  

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