短編2
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深夜のモニター室2

そんなことをあれこれ頭の中で駆け巡らしていたKさん。

駐車場のモニターにはもう誰もいない。そこにはついさっきまでずっと見ていた同じ光景が広がっているだけだった。

ふぅ…と少し落ち着こうとしたその瞬間Kさんは見つけてしまった。

会社の入口を映すモニターに例の髪が異様に長い後ろ姿が映りこんでいることに…

そいつは相変わらず微動だにしない。しばらくまた目を離せないで見ているとふっとまた消えた。

すると今度はいつの間にかエレベーターのモニターに映っている。

間違いない。モニター室に近付いている…。

ダメだ。もう我慢の限界だ。Kさんは警備会社に直通している電話機をとった。

人と話したい。人の声を聞いて怖さを紛らわしたい。異常報告よりもその気持ちでいっぱいいっぱいだった。

しかし無情にも電話は繋がらない。電話の音すらならない。コードが切れている訳ではない。しかしなぜか電話が繋がらない。

ああ…もうダメだ。あいつがモニター室の階までもう来ている。

霊感のない俺でもあれだけはっきり見えるんだ。あいつは化け物クラスの霊なんだろう。

俺はこのまま絶望感に打ちひしがれたままあいつに殺されるのか…悔しい…悔しい…悔しい…

確か霊は不浄なものを嫌うと聞いた。せめてあいつに、あいつに一泡ふかせてから死にたい。

Kさんはおもむろに立ち上がるとチャックを静かに下ろす…。

もうモニターは見ていない。モニターを背に目の前のドアをただただ椅子に腰かけ見つめていた。

そんな状態のまま一時間ぐらい経っただろうか。

遅いな…もしかして俺助かったのか…?そう思った瞬間ドアが鈍い音を上げ開いていく。

ああ…いよいよか…せめてこいつがどんなツラをしているのか見てやる…。

ドアが完全に開いた。そこには…

Kさんの上司が目を丸くしたまま立っていた。

ああ…!助かった!助かった!Kさんは泣きながら上司に駆け寄る。

するとKさんの上司は思いっきりKさんをぶん殴った。

それはそうだ。真面目だと思っていた部下がちんこをぶら下げたまま泣きながら満面の笑顔で駆け寄ってくるのだから。

今もKさんと上司はたまに飲みにいくそうだが、上司曰わくその幽霊よりもKさんの方が絶対怖い、だそうな。

怖い話投稿:ホラーテラー 鍋焼きうどんさん  

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