短編1
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あった

ある夏の夜のことです。

彼氏と出掛けた帰り道、公園を通りました。

そこは大きな公園で、両側がたくさんの木に囲まれた並木道がありました。

その並木道を歩いていた時です。

ずっと喋っていた彼氏が急に黙りはじめました。

私が「どうしたの。なに?」と聞いても、ずっと黙ってただ前を向いていました。

そのまま3分程して、やっと彼氏が口を開きました。

「…今、木と木の間に首のないスーツの人がいた…」と言うのです。

以前から彼氏が『見えるひと』だということは知っていたので、「え~やだぁ…怖いなぁ」くらいで終わりました。

もちろん、私には全く見えないのでわかりませんでした。

なるべく急いで公園をでて、「首はどこにあるんだろうねー」なんて言いながらポツリポツリと街灯がある道を歩きました。

その道を一直線に行けば家に着くので、家まで競争しよう!ということに…

よーい、どん!で走りだして数秒後、彼氏が「靴ひもがほどけた!」と一旦止まって靴ひもを結びはじめました。

私はそこ少し離れた街灯の下で「早く~」と彼氏を急かしていました。

「はいはい」と彼氏が顔を上げ、私をみて顔が強ばっていました。

私の後ろを指差し、「あった…」

「えっ?」

「首、あった…」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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