中編3
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運命

人生の選択に迷った時占いに頼ったことはないだろうか?

私が思い悩んでいたある日友人から占いをすすめられた。

占いをあまり信じてない私だったが友人の押しに負け気休めにと行ったのが始まりだった。

それは広島県の○島という所。

小さな島だったがかなり迷った。

占いという看板を出していない普通の平屋の家と聞いたが同じような家が何軒もある。

車を停め家の表札を見て歩いた。

真夏でとても暑く汗を流しながら探していると

「誰をお探しですか?」

品の良さそうなお爺さんが聞いて来た。

「占いを見てもらいたいのですが…○○さんのお家ご存知でしょうか?」

お爺さんはにっこり笑って道案内をしてくれた。

別れ際に

「よく当たりますよ」

と言った。

本当にごく普通の平屋で占いを商売にしている感じは全く見受けられない。

挨拶をし家に入ってみるとお年寄りのご夫婦がいた。

お爺さんが

「こちらにどうぞ」

と言い私にペンを渡した。

「名前と生年月日書いて下さい」

突然の訪問だったが何の躊躇もなく私を占ってくれるようだ。

名前を書いている途中で

お爺さんは

「あんたは大変な苦労をされている」

と言い私の家族構成、私の職業、幼い時の事故の話や数年前昏睡状態に陥ったことまでまるで私の全てが見えるかのように当てた。

優しい目をしていたが私はあまりの的中率に少し恐怖を感じた。

最後にお爺さんは

「あんたはこれから先独立をして成功する。これは運命なんじゃ。」

と言った。

お爺さんの言葉に占いをあまり信じてなかった私だったが気分が良くなり友人の何人かに話した。

その中の1人警察官をしているKが連れて行ってくれと言ってきた。

私が訪問して1週間後Kを連れて行くとお爺さんは体調を崩して寝込んでいた。

やむを得ず日を変えようとした時お爺さんがKの顔を見た。

「あんたはこの先大変辛いことが起きる。あんたには強い神様がついている。だからあんたは頑張って生きなさい。

…これは運命なんじゃ。」

お爺さんはそう言い

布団にもぐった。

呆気にとられ立ち尽くしているとお婆さんが出て来てドアを閉められた。

それから1年経たない間にKの妹は首を吊って自殺した。

遺書には

「さようなら」

とだけ書いてあり真相は分からない。

その半年後母親が通院している病院の窓から飛び降り自殺をした。

母親は生まれつき両目が見えない障害を持っていたが強い精神力の持ち主だった

…が娘の死には耐えれなかった。

家族4人で生活をしていたのにKと父親の2人になってしまった。

Kの家族に不幸があったことを友人伝に聞いた私は咄嗟に占いのお爺さんの話を思い出したが家族を2人も亡くしたKにそんな話を持ち出す勇気は無かった。

Kの母親が亡くなって2ヶ月。。

Kの携帯に電話が入った。

父親が焼身自殺をした。

Kは現場に急いで行った。

その時既に父親は病院で遺体として横たわっていた。

現場は家の前の道路だった。

家に入ると部屋には血のついた包丁が転がっていた。

父親は手首と首を切ったが死に切れず最後に灯油を浴びて火を放ったらしい。

近所の人が人間とは思えない叫び声を聞き見ると人が燃えていたそうだ。

あれから4年。

私は再び占いをしてもらう為家を訪ねた。

お爺さんの住んでいた平屋は空き家になっていた。

かなりの高齢だったからなんとなく理解した。

お爺さんはKの全てが見えていたのか。

それともただの偶然か。

Kに笑顔が戻りますように。

怖い話投稿:ホラーテラー じゅりさん  

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