長編11
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同棲していた女

この話は、幽霊とか、不可解現象と言った話ではありませんが、

僕の人生至上もっとも、恐怖した体験です。。。

もし、共感出来る男性や怒りを覚える女性がいらっしゃったらコメントを

いただければと思います。

かなりの長文になりますが、お付き合いいただければ幸いです。。。

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深夜1時。帰宅。

マンションのドアを開けるとK子が椅子に座り、

テーブルに向って静かに何かをしている。

その背中から感じられる禍々しい気配・・。

僕は恐ろしくなり一度ドアを閉め、部屋の前で考えた。。。

『テーブルの上の紙くずの山は何だ??写真!!?』

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それは、今から5年ほど前のことです。

僕は実家暮らしのサラリーマンでした。

その当時、僕はだらしのない、言うなればだめ男で世に言う「遊び人」

と言われる類でした。特定の彼女は2人、そのほか不特定多数の女性とその場の

お遊びをしている、そんな生活をすることで自分自身の充実感を満たしていた

そんなチャラ男でした。

そんなある日、本命のT恵がそろそろ一緒に住まないかという話を持ちかけてきました。

聞くところによると、今までルームシェアをしていた友達が結婚し、その彼とドイツに行かなければ

ならないため、家財道具ごと引き取らなければならないと言うのです。

しかし、一人暮らしをするにしては荷物も多いし、家財道具を処分するにもお金がかかるので、

この際、僕が一緒にそこに住めば円満解決ということでした。

T恵は気も利くし料理も上手、話をしていても面白いし、頭の回転が早く、

何よりその当時一番好きだった女だったので、僕も二言返事でOKしました。

もう一人の彼女のK子は、実家暮らしでT恵より僕との交際期間は長く、温厚な性格で箱入り娘でした。

僕を疑うこともなく、仕事が忙しいという理由で2週間に一度程度、逢っている関係を2年ほど続けていました。

一緒にいるときも特に意見はなく、ただ一緒に居れればそれでいいという感じで、僕としてはとても安心できる

反面物足りなさを感じる、そんな女性でした。

それは、僕にとって「保険」と言った存在でした。

同棲を始めて、2ヶ月が過ぎたころ。。。やはり、共同生活の中でのもめ事が増えてきました。

「遊び人」という輩は、基本的に「干渉」「束縛」を嫌います。自由がなくなる状況を回避するために。。

しかしながら、同棲しているだけに、自由な時間は必然的に減ってしまいますし、不明確なことに対しての

追求もでてきます。しかし、それに抵抗を示せば示すほど疑われます。。。

そこで私はPCを駆使しチャットや、Eメールというツールを利用することにしました。

PCに疎いT恵は、PCを使うことは無く、もっぱらインターネットでの調べ物は僕の仕事でした。

その当時、僕の通信ツールは自分のケータイと会社のケータイ、自分のPCと会社のPC、各2台。

使用していたEメールアドレスはフリーアドレスとプロバイダからもらっているアドレスの2つでした。

念には念をと思い、ケータイもT恵に壊れたと嘘をつき機種変をしました。

交流のあった女性には会社ケータイの番号、アドレスはよく変えると嘘をつき、PCのフリーのメールアドレスを教え、

PCに明るい子にはチャットのIDも教え、そこで連絡のやり取りを行うようにしました。

しかし、K子に関しては、T恵に輪を掛けてITに疎かった為、K子のケータイの僕情報を書き換えることで、

K子はよくわからないまま電話は会社ケータイに、アドレスはPCアドレスに届くように設定しました。

T恵は、僕の仕事が夜遅くなることについての理解はありましたので、ケータイチェックをさせることと、

定時連絡だけしっかり行えば比較的自由な行動をとることができました。

僕は、PCと会社ケータイを使い、以前となんら変わらぬ「女遊び」を再開することができました。

人生とは不思議なもので、そんなだらしない生活をしていても、運気が向いていたせいか、仕事も順調に成果を上げ

昇進したり、今までないほどのモテ期を迎えたりと、今思えば人生最大のピークが到来しました。

そんなある日。

同棲も6ヶ月も過ぎた頃。。。

T恵の雰囲気が少し変わったことに気づきました。生活は何も変わらないのですが、

会話の受け答えや、態度何気ないしぐさに少し陰を感じるようになったのです。

気になった僕は、T恵に話を聞くことにしました。

するとT恵は今まで見せたことのないようなぎこちない作り笑顔で

「私、なんだか疲れちゃった。M君(僕)とは幸せになれないと思うから別れよ。。。」

と切り出してきたのです。

『なんで??』と言おうとした瞬間、僕はギョっとしました。

それは、T恵の顔が一瞬ですが、鬼のような形相に見えたのです。。。

それは怒りなのか悲しみなのか、表現しようのない表情でした。

背筋が凍りついた僕は何も言えず、黙り込んでしまいました。

「私、明日出て行くね。。。」

僕は、目に見えないプレッシャーに圧倒され何も言えませんでした。

むしろ、その場から逃げたいと思うほど、異様な空気に包まれました。

その日の夜、ひとつしかないベットで、最後の長い長い夜を過ごしました。。。

横に寝ているT恵はもはや僕の知っているT恵ではない、とても恐ろしいものに感じられました。

一睡もすることなく、僕は始発の電車で会社に行きました。

朝早いこともあり、あまり人のいないオフィス街の喫茶店で、

コーヒーを飲みながら僕は今置かれている状況を考えました。

『何かがバレた。。。』いろいろある可能性をひとつずつ整理しました。

しかし、部屋の状況を確認しなければ、何が理由でどんなことをT恵が知っているのか

検討も付きません。

何よりあの一瞬みせた鬼のような形相が頭から離れませんでした。

その日の仕事には身も入らず、何をしていても不安な僕は、帰りたくないが帰らなければならない

マンションに向かいました。

部屋に帰るときれいに片付けられた部屋。。。

本当にT恵の必需品のみきれいになくなっていました。

そして、テーブルの上に一枚のメモ書きが残されていました。

『押入れのバックのポケット』

メモにはそう書かれていました。

僕はそのメモを片手に押入れを開けました。

すると、そこには以前僕が使っていたビジネスバックが置いてありました。

そのバックのポケットを開けたとき、僕の心臓は今までにないほど鼓動を打っていました。

『携帯電話』

それは、僕がT恵に壊れたと嘘を付いて、機種変更する前の携帯電話でした。。。

しかも投げつけられたらしく画面にヒビが入っていました。

『これか。。。』

僕は愕然としました。。。

詰めが甘いというご指摘も受けそうな話ですが、中の女性とのやり取りのデータを消去せず

そのままバックに入れたまま、忘れていたのです。。

「はぁ~・・・・。」

自分が情けないやら、悲しいやら。。。

しかしながら、過ぎたことを気にしていても仕方がないし、世の中、女はT恵だけではない。

今思えばこの立ち直り方も少々歪んでいるわけですが、当時はそれが一番手っ取り早い立ち直り

方でした。

T恵のことはきっぱり振り切り、人生初の一人暮らしをスタートさせたわけです。

これは、僕の持論ですが、そもそも2股をかけたり、特定の異性と付き合いのできない人間は

基本「寂しがり屋」の「自分大好きさん」です。

今まで、時間をもてあます事の無い生活を送っていたためかポッカリ穴が開いてしまったような

気がしました。

しかし、これで堂々と電話もチャットもメールもできる環境になったわけです。

今までは、時間や場所を気にして食事やデートを行っていましたが、すべて解禁ということで

それはそれで、T恵を忘れるに十分な時間を過ごすことができました。

ところが、1ヶ月もしない内に不可解なことが起き始めました。

遊んでいた女性が、だんだん疎遠になっていったり、連絡が取れなくなるなど、中には、すごい剣幕で

怒鳴られるなど謂れの無いことで嫌われるという奇妙なことが起きたのです。

今までが、ツキ過ぎていたせいもあったり、T恵のこともあったので、もうそろそろ僕も年貢の納め時

と思い、そんな中でも、何も変わらず見守っていてくれたK子と一緒になろうと思うようになりました。

K子の実家は、4人姉弟で、K子は次女でした。両親とは、年に何度か逢うこともあり、そこそこの関係を

築いていたため、結婚を前提にと言う話はすんなりOKをもらいました。

僕も、もうまじめに平和に生きていこうと、改心して幸せになろうとそう思えてきました。

籍を入れるのは、少し落ち着いてからということで、とりあえず一緒に暮らす方向で話を進めました。

住むところは変えようと思ったのですが、今後いろいろお金がかかると思い、今住んでいるマンションに

そのまま住むことにしました。当然、K子は僕が実家暮らししていたと思っているため、そのマンションは

友達が住んでいたが、引越しするということで名義を変更して住めるようにしたと嘘を付きました。

そんなK子と同棲し始めて、僕もまじめにK子ひとすじで半年ほど過ぎました。。。。

なんの問題もない、穏やかな平凡な日々が続きました。。。

そして、その日はなんの前触れも無くやって来たのです。。。。。

深夜1時。その日は、お客の接待があり遅くなりました。

マンションのドアを開けるとK子が椅子に座り、

テーブルに向って静かに何かをしている。

その背中から感じられる禍々しい気配・・。いつもと違う空気にゾクっとしました。

僕は恐ろしくなり一度ドアを閉め、部屋の前で考えた。。。

『テーブルの上の紙くずの山は何だ??写真!!?』

K子は思い出を大切にする性分で、どこに行くにも写真を撮る習慣がありました。

このマンションに越してくるときに、僕との写真をアルバム3つ分も持ってきてて

僕はびっくりしました。

その写真をビリビリに破いてテーブルの上に積み上げているのです。。。。

僕は以前にもこの恐怖を感覚したのを思い出しました。

そうです。T恵に別れを宣告されたあの日です。。。

『今度はなんだ!!??』『もう、悪いことは何もしていないはずだ!!』

私は心で、そう叫びました。

意を決して、部屋に入りました。

テーブルの上にある紙くずはやはり写真です。。。

僕 「どうしたの・・・これ??」

K子「ごめんなさい・・・。」

僕 「どうしたの???」

K子「ごめんなさい・・・。今日ね・・・。部屋を掃除してたらこれが・・・・出てきたの・・・」

もはや、K子の声は震えて今にも泣きそうな声でそう言い、一枚の写真を出してきました。

それは、T恵がこの部屋でアイロンをかけている写真でした。。。

僕は一瞬なんのことかわけがわからなくなりました。

僕はその写真を撮った記憶はありません!!

そして裏側を見るとこう書かれていました。

『200○年×月△日 Mくんのワイシャツにアイロンをかける。』

その日はT恵がこの部屋を出て行った日。。。。

忘れもしない、僕が初めて暗い部屋に帰ってきたあの日です。。。

僕は分けがわからなくなりました。

あの日に写真を撮って、あの日に現像した写真をなぜこの部屋に残したのか???

誰にこの写真を撮らせたのか?なんの意味があるのか?

しかし、今置かれている僕の状況は、完全に言い逃れの出来る状況ではありません。。

僕は何も言えませんでした。。。

K子「・・・これどこから出てきたと思う?」

僕 「・・・・。」

K子「ベットのマットレスの下・・・。」

僕 「・・・・。」

K子「そのベットの下にあったんだよ!!??この写真はこの部屋だよね!!」

僕 「・・・・。」

K子「・・・いつから、私を騙してたの・・・。」

僕 「・・・・。」

K子「・・・もう信じられない。。。」

そうして、僕はそのテーブルをじっと見つめたまま、またもや長い長い夜を送ることになりました。

その後。

K子は言うまでもなく、部屋を出て行き、僕ももう引っ越すことにしました。

部屋を片付けてみると、もう3枚T恵の写真が出てきました。

布団を干している写真、掃除機をかけている写真、台所を片付けている写真。。。

すべて日付はT恵の出て行った日でした。

そして、インターネットの線を抜こうとカーペットをはがしたとき、ケーブル線に

一枚の紙がテープで留めてありました。

中身にはこんなことが書かれていました。

「Mくんへ

 私はあなたのことを、愛していました。

 しかし、その思いとは裏腹にあなたの女遊びは、

 

 全く減りません。いつの日からか、愛情が憎しみに

 変わってしまいました。

 

 私はあなたが、許せません。死んでくれればいいとも思います。

 殺そうとも考えました。

 しかし、そんな生易しいものでもありません。

 あなたが、この手紙を見つけるのが私にとって最高の状況で

 あることを願います。

 チャットID:○×△××

     パス:××××××

   アドレス:○×△××@×××

     パス:××××××

                          T恵  」

凍りつきました。。。

手紙の内容もそうですが、それより何より、パスワードです。。。。

僕は、チャットとフリーメールのパスワードを同じにしていました。

そのパスワードと記載されていたパスワードが一緒だったのです。

そういえば、僕は機種変前のケータイにもナンバーロックをかけていて

そのパスワードも同じものを使用していました。

しかし、チャットIDもアドレスも僕のものではありません。

僕は慌てて、IDとメールにログインしてみました。

すると。。そこには僕の付き合いのあった女性に対して尋常ではない嫌がらせ

メールや僕を装ったひどい内容のチャット履歴がありました。

僕は泣きました。。。。

本当にどうしようもないことをしてしまったことに気付きました。

それは、T恵にこんなひどいことをさせてしまった自分の浅はかさに

もうどうしようもなく、泣くしかありませんでした。

おそらく、T恵は僕の行動を、ある程度把握していたのだと思います。

T恵が送っていたメールやチャットの内容が妙にリアルで、時には

観ていなければわからないような内容もありました。

通常の人間の精神状態ではないような。。。そんな文章も含まれていました。

送信の日付を見る限り、僕との接触がなくなった女性に対してはその嫌がらせも

終わっています。

そうなると合点がいきました。K子のケータイに登録した僕のアドレスだけは、

フリーアドレスではなく、プロバイダアドレスだったので、K子のメールアドレス

はT恵にはわからず影響がなかったのだと思います。

(プロバイダアドレスに来たメール内容は確認後すぐ消去してたため、女性のやりとりは

 このアドレスではないと思ったのでしょう。。)

T恵は、僕のいない間にPCを開きインターネットの履歴から、僕のやりとりを

確認したのでしょう。。それで、いろいろ調べて、こんな状況を作り上げたのだと

思います。

僕は力が抜けました。。

本当に取り返しの付かないことをしてしまった。。。

僕は、お化けや幽霊の類にはまったく疎く、今まで霊的な体験を何一つしたことはありませんが、

これだけは、わかった気がしました。

「人間に『呪い』をかけるのは人間だけ・・。」

人を鬼や魔物にに変えるのも人間なんだなぁと思いました。

その後、僕はT恵の残したメールアドレスに、

この謝罪の気持ちを精一杯綴り送りました。

そして数日後、一言だけ返事がきました。

「死ねばいいのに!!」

怖い話投稿:ホラーテラー Mさん  

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