中編5
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母の夢

友人の従兄弟の話です。

誤字や脱字があったら許してください。

友人の従兄弟には子供がいて名前を【夢ちゃん】というそうです。9歳なのに結構うまい絵を描く女の子なんです。

家族で遊園地に行ったときの絵を描いたり、買い物行ったときの絵を描いたり空想の絵を描いたり、ペットの兎(名前はソラ)を描いたりしていたそうです。

でも、その絵には真っ黒に塗り潰された人を描いているときがあったと母親が言っていたそうです。

大きさは娘と同じくらいの身長で、お母さんは絵を描きはじめた時から見ていたそうです。

でも、9歳になった夢ちゃんの身長同様に黒い影も日に日に大きくなってるそうです。

3歳くらいから、「これ誰かな?」と聞くと必ず「ママひみちゅ!」と言うらしいのです。

ある日、お母さんが気味悪くなって夢ちゃんの絵を知り合いの寺に持って行ったのですが何もわからなかったそうで、絵を描くことを控えさせる為に習い事をさせたそうです。

習い事をさせたら、絵よりもそっちを好きになって描かなくなるんじゃないかって。

字を描いたらどうだろう?と習字を習わせたそうなのですが半紙に絵を描くようになり、墨で描く人物画があまりにも気味が悪くてすぐに辞めさせたそうです。

次に、ピアノはどうか?と、習わせたのですが椅子に座るときに必ず左側をあけて座りピアノを弾くらしいのです。

母親が「真ん中に座りなさい」と言うと、

「夢は右でしょ?」と言うことを聞かなかったそうです。

夢の隣には、いつもあの黒い影がいるのではないか…

そう思って恐怖すら感じていたそうです。

夢ちゃんが9歳になる4日前。土日なので遊園地に行くことになり、いつもの遊園地に高速を使って行ったそうです。

遊園地で遊んで、近くの温泉がある旅館に宿泊したそうなんですが奇妙な出来事が起きたそうです。

旅館に着き部屋に通された両親と夢ちゃんには、くたくたに疲れていて畳の上に3人で大の字になって寝転んだそうです。

「楽しかったね夢!」と母親が寝転びながら夢ちゃんに話し掛けたのですが、夢ちゃんは「おもしろくなかった。」と言ったそうです。

「夢は楽しそうに遊んでいたじゃない」と言いながら体を起こすと夢ちゃんが忽然と消えていたそうです。

今、夢ちゃんは部屋にいたのに…と母親が思っていると急に引き戸が開いて「お土産のとこ見てたら、迷子なった」と笑いながら夢ちゃんが入ってきたそうです。

母親は背筋が凍ったそうです。

「夢ちゃん、今日黒いパーカーのトレーナー着てたでしょ?どこに脱いだの?」夢ちゃんが部屋に入って来たとき着ている服が、朝から見ない別の服だったそうです。

夢ちゃんは首を傾げて、「朝からピンクのトレーナーだよ?」と普通に答えました。

母親は、慌てて遊園地で撮影した写真をデジカメで確認するとピンクのトレーナーを着ていたそうです。

びっくりして何回もデジカメを見直しましたが全てピンクのトレーナーだったそうです。

それを見ていた夢ちゃんが、「今日も黒い服を着てたんだ…」と小さな声でボソッと言ったそうです。

それを聞き逃さなかった母親は「夢!それは誰!いい加減誰か言いなさい!」と怒りながら夢ちゃんの腕を強く握ったそうです。

「夢、知らない!痛いママ!」と泣きながら部屋を出たそうです。それを見ていた父親が「連れて来るから待ってて」と、母親を残して出て行ったそうです。

数分後、父親は夢ちゃんの手を引っ張り部屋に戻ってきて母親の前に二人並んで座って こう言ったそうです。

「もう、これ以上夢も我慢できないよな?」と言うと夢ちゃんがコクリと頷いたそうです。

母親は状況が全く飲み込めなかったそうです。

「おまえの、妄想にはついていけないんだよ!」と父親は声を張り上げて言ったそうです。

どうやら、夢ちゃんが描いた絵の後に母親が自分で黒い人影を描いたり ピアノの椅子を少し開けるよう言ったりして あたかも誰かが存在するように母親が演じていたと。

その後、自分は何も知らないとばかりに気味悪がっては寺に行ったりしていたそうです。

母親は「そんなの嘘よ!」と怒りながら涙を流し始めたときに、「じゃ、それは何だよ!」と父親は母親の後ろを指したそうです。

母親は振り返り指が指した方を見ると小さな黒いバッグがあり「これ、誰の?」と母親が父親に聞くと

「おまえが持って来たんだよ」と言ったそうです。

母親が、バッグを開けるとそこにはの黒いパーカーに黒い靴下などの一泊できるほどの子供用の服など入っていたそうです。

「これ、誰の?」と再度母親が父親に聞くと父親は「おまえが勝手に準備して持ってきたんだろ!」と怒鳴ったそうです。

すると、母親は糸が切れたかのように畳にへたりこんで畳を爪で掻きはじめたそうです。

ガリガリガリガリ ガリガリガリガリ

「ど、どうしたよ??」と父親が母親の肩に手を伸ばすと腕を振り払い

シラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイシラナイ…

と畳を爪でガリガリガリガリさせながら話始めたそうです。

それを見ていた夢ちゃんは、恐くなって「ママじゃない」と泣き出したそうです。

すると、母親が急に立ち上がり夢ちゃんを蹴飛ばして

死ね死ね死ね死ね死ね死ねアーアーアヒャヒャヒャ

と笑いながら、部屋を飛び出して行ったきり夜は戻って来なかったそうです。

朝になっても戻って来なくて、一応警察に届けを出して夕方に家に帰り着いたそうです。

玄関を開けると、消えた妻がいて

「もう、どこ行ってたの?夕飯準備できてるわよ!」と、テーブルの皿の上にのせた兎の死骸を包丁で指していたそうです。

ペットのソラを調理していたようです。

その後、精神病院に入院することになったそうです。

夢ちゃんは今小学6年生になりました。

父親との二人暮らしをしています。

ある日、友人は夢ちゃんを市立図書館で見かけたのでびっくりさせようと後ろから声をかけようと夢ちゃんに近付いたときに妙な本を、たくさん広げて読んでいたそうです。

それは催眠術についての本だったそうです。

まさか…

END

怖い話投稿:ホラーテラー FOXさん  

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