『図書室の男の子』の続きです。
「その本、面白い?」
声が聞こえてきた後方を振り向くと、そこにいたのはひとりの男の子でした。当時の私は、その子を大人っぽいなと感じたので、多分小学六年生か中学生ぐらいの外見だったはずです。
私は彼の問いに、数分経っても答えられませんでした。男の子は私に一冊の本を勧めてきました。
童話だったかと思います。タイトルはどうしても思い出せません。
「それは面白いよ、読んでみて」
その男の子の言葉に、満足に返事もできないまま、私はその本を読み進めていきました。
やがて、下校時間を知らせる校内放送が聞こえてきて顔をあげると、その男の子はいなくなっていました。
帰ったのかな、とも思いましたが、廊下に続くドアは閉まっています。ドアを開ける音も、ましてや閉める音さえ、私には聞こえませんでした。
その日はそれでお終いでしたが、その日から毎日、私が放課後に図書室に行くと、男の子はいつの間にか私の後ろにいて、話しかけてきてくれました。
私は不思議なその男の子を気味悪がることなく、寧ろ図書室に行ける放課後を待ち遠しく思っていました。
続きます
怖い話投稿:ホラーテラー ホラー魂さん
作者怖話