『図書室の男の子 5』の続きです。
「おれ、明日は来れなくなっちゃうんだ」
…なっちゃうんだ?
私がそうなの?と聞くと、Nは頷いてごめんね、と言いました。私は、いいよ、と返します。
「明日だけじゃない。明後日も、次の日も、その次の日も来れなくなるんだ」
Nの言葉に、私は嫌だ、と即答しました。Nはそんな私に再度謝ってから、私の眼を見て、真剣な眼差しでこう言いました。
「きみは、感情をさらけ出していいんだよ。
おれの前だけじゃなく、皆の前でね」
これが、私が覚えているNの最後の言葉です。
どういうつもりで、Nがこの言葉を言ったのかは未だに解りませんが、ただひとつ、これだけは言えます。
彼のこの一言が、今の私を形造ってくれたことは、間違いようのない真実だと。
その翌日、私はもやもやした気持ちを抱えたまま、図書室に向かいました。昨日のNの「もう来られなくなる」という言葉が本当だったらどうしようと、不安になっていたのだと思います。
図書室には直ぐに着きました。しかし、中から人の気配がします。
Nくん?
私は急いで中に入り、物音がする方へと走りました。
続きます
怖い話投稿:ホラーテラー ホラー魂さん
作者怖話