短編2
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カーナビ

最近のカーナビの性能は優秀だ。

行き先を打ち込むだけでどこにでも案内してくれる。

この前なんて、

【良く出るパチンコ屋】

と入れたら、本当に良く玉が出ているパチンコ屋に案内してくれた。

まあ…負けたけど…

【夜景が綺麗な場所】

と打ち込めば、この街で一番、夜景な綺麗な場所に案内してくれるし、

【旨いラーメン屋】

と打ち込めば、希望通りの店に案内してくれる。

技術の進歩とはすごいもんだ。

俺はこの優秀なカーナビの性能を使い、彼女とのデートプランをたてる事にした。

明日は彼女との初デート。

失敗は許されないからだ。

しかし、一体どこへ行けばいいのか全く検討がつかない…

デートなんだから、とにかく楽しい所がいいんだろう。

俺はカーナビに、こう打ち込んだ。

【めちゃくちゃ楽しい所】

俺はドキドキしながらカーナビの案内を待った。

だが、カーナビからなかなか返答は帰ってこなかった。

やはり、こんな抽象的なキーワードじゃ無理かと諦めかけていると、行きなりカーナビから案内の声が聞こえてきた。

(案内を開始します。)

おお!

さすがは優秀なカーナビ。

どんな要望にも答えてくれる。

俺はカーナビの声に従い車を走らせた。

(次の信号を右です。)

(次の信号を左です)

一体どこへ連れていってくれるんだろう。

俺は期待に胸を膨らませていた。

ある交差点を通り過ぎようとした時、

普段は余裕をもって案内してくれているカーナビが、いきなり言った。

(この交差点を右です! 早く!)

俺は案内にあわせ、右に急ハンドルをきった。

その瞬間…

ドオン!

と言う鈍い音が響いた。

直進してきた大型トラックとぶつかったようだ…

薄れゆく意識の中で、俺はカーナビの案内の声を聞いていた。

(まもなく目的地の天国です。案内を終了します。)

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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