中編3
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ラブレターⅦ

ラブレターⅥ続きです。

一先ず完結となります。

頭の中で綺麗に繋がる事象の数々。その半分は未だに仮説の域を出ないままにも、不思議な確信がありました。

逸る気持ちを抑えつつ、精一杯の速度で家に向かいます。不思議な事に何かに導かれているかの様に目の前の信号は青へと変わっていきました。

乱暴に車庫に止め、車を降りると、そこには一台の黒い軽が止まっています。それは納得のいくもので、別段、私にとって今更に驚くべき事ではありませんでした。

家の中からは、騒がしい模様が良く取れるぐらいに喚き、叫び、様々な音が聞こえてきます。

携帯を見ると2時を少し回ったところ。

いつもの様に鍵を開け、リビングに向かうと私の登場にさも驚いたかの様に固まる人物がいました。

リビングの床は所々に血が垂れ、揉み合う2人にはうっすらと出血している箇所が多々あります。

「た、助かったよ。いや、突然……」

「消えろ」

それにそれだけ言うと、私は歩みを止めずに、包丁を自らの顔に突き刺そうとしている彼女にこう言いました。

そう、あの街灯の下にうずくまっていた女性に去り際に言ったように。

「もう、願いは叶っているだろ。貴女は僕の伴侶だ。なんなら、もう一度式を挙げようか?」

そう言うと、携帯のアラームが鳴りました。確認こそしませんでしたが、ディスプレイに表示されている文字は判っています。

──2月2日2時22分。

HappyBirthdayアヤカ

アヤカ、とは妻の名前です。

そのまま妻は泣き崩れ、ぽつり、ぽつり、と話し始めました。

写真が私に手渡される前、ミサキさんから事前に連絡があった事。

実は、私の駐車場の一件以前からも、それが夢に出てきていた事。

そして、夢に出てくるそれは間違いなく、昔の自分であった事。

──妻が整形をしている事は知っていました。

私個人の考えですが、コンプレックスを解消し、それが人生を謳歌する力になるのであれば、それは決して悪い事ではない、そう思っています。

そして、私と妻との出会いは十年以上前に遡り、それはまさに、場所こそ違えど街灯の下で酔い潰れている所を介抱したのが始まりとの事です。

それから数年経ち、今の妻と所謂、恋人から婚約関係を築こうとした時に、実はだいぶ前に出会って……それから、整形をして、と話された時は流石に驚きましたが、運命的な何かを感じたのは間違いありません。

今回の原因かどうかは未だに判りかねますが、妻とタカシは所謂、不倫関係にあったようです。

また私に対し、何かしらの劣等感を彼は抱いていた様で、脅されながらの関係だった、と。

私に見せた画像の一部や、写真の合成等は彼が行ったものだと言うことが判明しました。ミサキさんには人を使い、手渡した様です。時刻を午前2時22分に設定したのは偶然らしいですが。

ただ、この偶然や、残された部分に関しては不明のままに終わっています。私は元来、こう言った事象には極めて懐疑的ではありますが、少し見解を変えざる得ませんでした。

──意思は時に形を造り、現実的に作用する、と。

この件に関しては、妻の中にある負の思いが形を成し、私に伝え、止められたかったのでは、と酷く利己的な解釈を私はしています。

長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。

感動、とは違うと思っていたのでこちらのタグはつけておりません。

話のオチとして、不満な部分はあるかと思いますが、何ゆえ事実を書き上げるしか出来ませんのでご了承下さい。

尚、我が家では今でも息子が泥だらけで帰ってくると、妻と一瞬、顔を見合わせてしまいます。

では、お付き合い本当にありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 優しい止まり木さん  

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