中編3
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オーダーベル

私は投稿名の通りの仕事に従事しています。

この業界に入って、まだ数年ですが、以前は地元のファミリーレストランでマネジャーをしていました。

今回は、そのファミリーレストランで起こった不可解な話をさせて頂きます。

当時、私の働いていたファミリーレストランは所謂、ロードサイド店舗で繁華街より少し離れた所にありました。

近くには主要道路が通っている為か、近隣の店舗よりは比較的繁盛していました。

営業時間はモーニングがあるが故に、【朝8時~深夜0時】

田舎なもので24時間営業ではありませんでした。

主に昼間の客層はビジネスマン、昼過ぎからはお茶をして話に花を咲かす主婦、夜は3世代の家族連れ、深夜は若者と言った具合です。

あの出来事があったのは、頬に当たる夜風が冷たく感じられる冬間近の頃だったと記憶しています。

通常なら深夜0時に店を閉め、閉店作業などを含めても、1時前後には帰宅の途につけます。

しかしその日は、月締め日で、棚卸しと言う作業が残っていました。

棚卸しと言うのは店舗内の食材の在庫数をカウントして、伝票と照らし合わせ、月の仕入高や粗利等を確認する大切な仕事です。

たかがファミレスと言えど、食材は300品目以上ありますし、例えばまぐろ丼につく、小さなワサビの袋まで一つ一つ数えなければならない為、非常に時間が掛かります。

だから決まって棚卸しは2人ペアで行います。

その日は、私と店長でした。

私は丁寧に一つ一つ食材を数え、数量を店長に伝えます。

店長はそれをカウント表に記入していきます。

その繰り返しです。

深夜3時少し前に棚卸しは滞りなく終わりました。

後はパソコンに数量を入力していくだけです。

入力作業は時間も掛からず、数十分もあれば終わります。

もう時間も遅い事ですし、店長には奥様とお子さんがいらっしゃいましたので、

「後は私がやっておきますよ。」

と、伝えて先に帰って頂く事にしました。

「いやぁ~それは悪いよ~。」

と、言いながらも店長は身仕度を始めました。

店長「それじゃあ後は宜しく!」

ビジネスバックと休憩室の自販機で買った缶コーヒーを片手に店長は帰って行きました。

「ティントン♪ ティントン♪ティントーン♪ティントントントントン♪」

と音楽が店内に鳴り響きました。

これは店の入口の扉を開けると鳴る音楽で、従業員が作業中でもお客様の来店がわかる様に設置されているものです。

ちなみにお客様が帰る時も同じ様に音楽が鳴ります。

様はコンビニの自動ドアをくぐったら鳴る音楽と同じ物です。

私はその音楽を聞いて、店長が店の外に出たのがわかりました。

店長が帰ってから2分程経った時、突然…

「ティントン♪ ティントン♪ティントーン♪ティントントントントン♪」

深夜の静まり返った店内にまた音楽が鳴り響きました。

私は驚き、パソコンに入力していた手を止め、一瞬身構えました。

しかし、店長が忘れ物を取りに来ただけだろうと思って、再び入力作業を続けました。

しかし、店長は事務所にやって来ません。

玄関から事務所までは1分も掛からないのです。

おかしいな?と思いながらも、入力作業を続けました。

すると…

「ティントン♪ ティントン♪ティントーン♪ティントントントントン♪」

またもや音楽が深夜の店内に鳴り響きます。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 現役探偵さん  

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