中編4
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ヒッチハイカー

先月に投稿した者です。いろんな意見を見て勉強にたりました。っと同時に、「堂々と目の前で言ってみろ!」とも思ったりもしました。(興味のある方は【集会の帰り道】を参照!)

前回に出て来た、健先輩の体験談です。

それでは・・・始めます。

先輩は高校を卒業後、お父様と同じ運輸会社に勤めました。

最初は助手をしながら徐々に4tトラックの運転をさせて慣れていきました。

半年を過ぎると自分担当のトラックをあてがってもらい喜んでいたのを覚えています。

仕事も一人前になり、結構遠くの配送も任されだした頃で、その日は川崎から荷物を積んで山梨までの配送でした。

師走に入りだし、忙しくなったので混雑する前に全てを終わらせようと張り切っていたそうです。

積み込みが9時頃終わり、道が驚くほどに空いていたらしく、昼には到着。

事務所に伝票を持って行き、午後1時に始まるまで車の中で弁当を食べながら待っていました。

時間になり倉庫の人間が来て、

「あんたの前に3台いるから、待ってて!番になったら呼ぶから。」

返事をし、再び待機・・・

・・・

・・・

・・・。

呼びに来たのは6時になろうかと言う時間でした。

前の大型トラックの荷物を落としてしまったらしく、かたずけに時間がかかったしまい、穏和な先輩も少々怒り気味に、

「だったら一言、言ってくれませんかねぇ!」

と言ったそうです。

全て終了して帰る頃は7時。

会社には事情を話し、遅くなる事を伝え、家路を急ぎました。

やはり何処もかしこも混雑していてイライラしてた頃、パーソナル無線が入って来ました。

その頃は携帯電話なんぞ無い時代。手軽に買えるパーソナル無線は仲間内で流行ってました。

連絡をくれたのは同じ会社のAさん。

Aさんは静岡の帰りで高速が事故渋滞で足止めらしく、下で帰っている途中でした。

待ち合わせして飯でもと伝えようとマイクを掴もうとすると、

実はヒッチハイカーの女の子を乗せて喜んでいたらしく、先輩は返事を返さなかったそうです。

どれくらい走ったでしょう?

道もガラガラになり、辺りは物静かです。

すると、山沿いに車が何台か止まれる駐車場のような場所にポツンと1台、自販機が見え、

「コーヒーでも買うか!」

先輩はトラックを止めました。

さきに止まっているトラックを見るとなんとAさんのトラックでした。

コーヒーを買ってからトラックを覗きました。

すると!

誰も乗ってません。

しかし、カーテンが閉められておりなんと!・・・

トラックが揺れてたそうです。

先輩は、女の子と良い事してんだと思い、腹が立ったがそのままにしました。

トラックを出発させAさんのトラックを見た時、カーテンの間からバイバイしてたそうです。

先輩は本当にに頭に来たらしく無線で、

『今、警察に連絡するので早めにパンツを履いてください!・・・どうぞ!』

と、いれました。

すると5・6秒、間が空き

『ふふふふふ・・・了解』

と女でも男でも無い声が入って来ました。

荷降しが始まるんで!

先輩は直ぐ様Uターンをして、さっきの場所に戻りAさんのトラックにライトを当てたその時、運転席にうなだれながら煙草を吸っているAさんを発見。

Aさんに駆け寄り、

「大丈夫ですか?」

声をかけると何が?みたいな顔をして、

「あっ?・・・あぁ・・。」

と首を傾げながら返事をした。

先輩はさっきの無線の声や、自分が思った胸の内を話したところAさんが、

「お前の言いたい事や考えている事は判った。

じゃあ俺は幽霊を乗っけて、話しをして、ムードが盛り上がって・・・・・・。いくらなんでもそんな幽霊、聞いた事ないぞ!

あの娘がな《アタシダケヨ・・。アタシガサイゴノオンナネ・・。》なんて言うのよ!幽霊がそんな愛の囁き、言うか!」

やっぱり・・・やっちまったんだ・・・。

先輩は女は何処にいるのか尋ねたところ、

「馬鹿!後ろのベッドに決まってんだろ!裸のままでカーテン開けられるか?乙女心を解んねぇかな!」

乙女心と言う言葉が一番似合わない人に言われ、腹が立ったので、

「じゃあ、自分帰りますよ!帰んないんすか?」

一応、聞きました。

「俺等はもう少し休んでから行くよ!」

そう返ってきたんで、(勝手にせい!)と心の中で叫んだそうです。

トラックに乗り込み再びAさんを見て、後ろのカーテンから隙間が開き、そこから、顔を半分だけ出し、ニヤっとした女。

先輩は一瞬にして、ゾクッとしたそうです。

車庫に着いて日報を書き、事務所に戻ったらなんだか騒がしい。

中に入るとこんな夜中に珍しく、配車担当や管理職全員集合して、てんてこ舞い。

どうした?と聞くと、

「Aさんが事故って重体なんだ!」

先輩は再びゾクッとして、さっきまで一緒にいたと話したら、時間にして別れて直ぐ後だと判明。

女性は?と訪ねるとAさん一人だが?との返答。

先輩はもしかして、あの時のニヤっとしたのはこれだったかと思ったそうです。

幸いにして、1ヶ月後に退院をして直ぐに運転のみの限定だが仕事も復帰したそうです。

ステアリングに両足を挟まれ右足と鎖骨に軽度の骨折。意識不明があったが脳に異常無し。

しかし、一つの機能がダメになりました。

それは、

アソコが起たなくなったのです。

医者の話では事故の衝撃が原因と言われたそうですが先輩曰く、

「ありゃ、幽霊とやっちまったからだ!」

と自信満々に語ってました。

その証拠にAさんは先輩にだけ、こんな事を話したそうです。

「時々、あの娘の声が聞こえんだよ!《アタシダケヨ・・。アタシガサイゴノオンナネ・・。》ってよぉ!」

Aさんは30歳にして不能になってしまいました。

男として、一番怖い事だと思った次第です!

【完】

怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん  

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