中編3
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腹毛の感触

●心霊ですが恐怖系ではありません

●動物話なので興味の無い方はスルーで

ご了承のうえ どうぞ。

我が家は一家そろって動物好きである。

哺乳類、爬虫類はもとより、昆虫類でも場合によっては愛玩対象となる状態。

そんな我が家に昔、一匹の猫がいました。

以前から我が家の犬がお世話になっていた動物病院で、あるご家庭の猫が出産のために入院していたのが事の始まり。

無事、母猫は数匹の仔猫を出産したが、もともと野良の父猫との【できちゃった状態】だったため、妊娠・出産は飼い主の意とする事態ではなかったらしく母猫の飼い主は「仔猫はいらない」と病院に処分を押し付けたらしい。

「小さな命を救えれば・・・」と、病院側は訪れる患畜の飼い主に里親になってくれるよう打診。

その場にたまたま犬の薬を処方してもらいに来ていた我が家の父。

愛らしさ全開の仔猫を見捨てる精神など到底持ち合わせる訳ない父は一匹の仔猫入りダンボール箱片手に、大興奮で帰宅。

仔猫にはしゃぐ私と姉をよそに、なんの相談もなく仔猫を連れ帰った父は母に説教をくらいまくっていた。

よくドラマや漫画にある【捨て猫(犬)を拾い、親に叱られる小学生のアレ】そのものだった(笑)

仔猫は母親ゆずり(シャム猫)のスラリとした体躯に狐顔で、濃いめのグレーの毛が特徴の猫に成長。

先住の犬とも種族を超えた友情なのか、不思議と関係は良好に。

そんな彼(←オスでした)も16歳の大往生で亡くなり、彼より10年ほど先に旅立った犬と同じペット霊園へ埋葬した。

その後しばらくして、これまで霊感とは無縁だった家族全員がなんらかの形で<彼>の存在を感じることが続く。

夜中に真っ暗なリビングに現れる「気配」

階段を行き来する「気配」

台所に立つ母の背後を歩き回る「気配」

全て「気配」止まりだったものの、家族は誰一人怖がらず「あ、来たな。」と、受け入れて過ごしてきたが、1年を過ぎたあたりからぱったり姿を現すことが止んだ。

「成仏して天にのぼったんだろう」

そんな話をしていたが、その後一度だけ、かなり奇妙な「気配」が私のところへやって来た。

その頃、家に動物のいない寂しさに耐えかねてきた時期であったこともあり、新たな家族を迎えることを決め、ボランティア団体に保護されていた仔猫の姉妹を引き取っていた我が家。

休日の午後、窓からのほどよい日差しが入る私のベッドにて、私と猫姉妹で極上のくつろぎを堪能していた。

うつ伏せで両腕を枕にころがる私の左肘のあたりに姉妹【A】。 頭上やや右上に姉妹【B】がそれぞれ丸くなっている状態。

丸くなって眠る姉妹の尻をつついて遊んでいると、ふいに体がズンと重くなり、金縛り状態に。

よく心霊体験記にあるような恐怖を感じさせる金縛りではなく[痛みを感じない圧迫]といった感覚だったので

(なんだ これ?)

と、のんきに考えていると、首のうしろ うなじのあたりにフワッとした感触が乗っかった。

やわらかい湿り気

毛皮のような感触

ジンワリ温かい

なぜか、直後に

「あ、猫の腹毛だ」

と直感。(理由はわからないが本当に直感)

腹側を首に面してクルリと巻き付く「何か」の感触。

「あぁ・・・・あの子かな・・・・

・・・だったらいいな・・・・・

フワフワで気持ちいい・・・・・・」

私と姉妹と謎の腹毛の4人で日向ぼっこ

ふと気付くと金縛りはとけて腹毛の感触も消えていた。

それ以来、彼の存在を感じる事は無い。

あれから6年弱

姉妹は立派に成長。

なぜか姉妹【A】は何もいない空間を夢中で見つめたり、窓越しの誰もいない庭にむかってじゃれつく仕草をする子に成長。

彼の「気配」は喜んでいた母は、なぜかこれにはビビりまくり。

猫相手に「気のせいだよね?」と語りかける毎日が続いている。

だといいね。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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