短編2
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店長の実家

昔、バイト先の店長から聞いた話です。作り話にしては結構具体的だったので7割程度で信じていました。

しかしその後、私にも説明のつかない不思議なことが起こり、店長の話と似ている点もあった為、

「こういう話、まんざら嘘じゃないんだな…」

と思うようになりました。

では、店長の体験談…

店長がまだ実家に居た頃、不可解なことが度々あったそうです。でも、感じているのはどうやら店長だけのようで、家族には話せずにいました。

一人で家にいるのに風呂場から水の音が聞こえたり、金縛りにあったり…。その程度は慣れていたようです

ただ、未だに思い出すと寒気がするという怖い体験を私達バイトに話してくれました。

ある日、夜遊びをして、かなり遅くに帰宅しました。店長は男ですが、お母さんは息子が心配なのか、たまに夜中、部屋をチェックしにくることがありました。

その日も部屋にそっと戻り寝ていると、階段をミシミシと上がってくる音が聞こえ、店長は

「チッ、いちいち確かめにくんなよ、ババァ」

と布団にくるまって寝たフリをしていたそうです。

ミシミシと足音が近づき店長の部屋の前でピタッと止まりました。

しかし、いつまで経ってもドアは開けられません。店長はなんなんだよ…とイライラしつつも、段々怖くなりました。結局朝までドアは開きませんでした。

ある晩、店長は強い金縛りに遭いました。

いつものことかと思っていると、物凄い力で身体が壁に引き寄せられ、ベッドと壁の狭い狭い隙間から出ている手に、ぐいと身体を捕まえられました。

店長は180センチを越す長身でガタイもしっかりしていますが、全く抵抗出来ず、勿論声も出ず、身体はドンドン有り得ない隙間に入っていき

「もうダメだ……」

とそのまま正気を失ってしまったようです。

…その後は覚えておらず、店長は就職を機に実家を離れました。

店長の回りで起こる怪奇現象はそれからメッキリ無くなってしまったそうです…

私が話すと怖くないかもしれませんが、本当に不思議体験をしたことがある人には、この怖さ分かってもらえると思います…

怖い話投稿:ホラーテラー ヨウコさん  

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