短編2
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ぐぎぎぎ

小学生の頃、スーパーファミコン世代で、俺もかなりハマってた。ここにいるほとんどの人はスーパーファミコン知ってるんじゃないかな? あれって、ソフト自体にゲームデータを記録する仕組みだったから、中古のゲームソフトを買うと時々前の所有者の記録が残ってることもあるんだよな。そんなとき、どこの誰かも分からない人の生活が垣間見えた気がしてちょっと嬉しくなったりしたな。

そのとき俺は、漢字テストの点が結構良くて親にねだって当時人気だった(今でも人気かな)ロールプレイングのソフトを買ってもらったんだ。スーパーファミコンのソフトって新品はかなり値段が高めだから中古なら買ってやるって言われて、それでも俺はそのソフトができるなら新品かどうかなんてこだわらなかったからすごく嬉しかった。

店に行くと、箱付き説明書ありで見た目は新品同様のお目当てのソフトが中古だとしても格安の値段で売っていて、俺は迷わずそれを買ってもらった。で、家に着いてすぐ箱を開けてソフトをスーパーファミコンに差し込んだ。

ソフトには記録が一つだけ残ってた。最初に目に付いたのはレベル100ってところ、名前は「ぐぎぎぎ」ってなってた。俺は変な名前だなぁなんて思いながらもちょっと得した気分だった。他の人の記録、それもレベル100。どんな記録か気になって、みてみることにした。

ゲームが始まって、王様が台詞をしゃべる。「よくぞ戻った〜よ」みたいな、よくある台詞。さっさと飛ばして、それから俺が操作出来るようになり、仲間のステータスを見た。

「ぐぎぎぎ」

「ぐぎぎぎ」

「ぐぎぎぎ」

「ぐぎぎぎ」

4人いる仲間の名前が全部同じで、しかも気味の悪い名前。

ステータスもかなり高いし、しばらくフィールドで戦ってると最初のやる気が削がれて俺は結局自分の記録を作らないままスーパーファミコンの電源を切った。ソフトも抜いてふと裏面を見るとでかい字で

ぐ ぎ ぎ ぎ

って所狭しと書かれてた。

そのソフトは結局友達に貸したまま返ってこなかったけどあれは何だったんだろう。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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