中編3
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真夜中の霊

私は長距離のトラックの運転をしている。度々心霊現象が起こるのだが、その中で忘れられない話を1つ。

その日は朝から豪雨で、何故か仕事にも気が乗らなかった。

しかし生活が懸かっているため、渋々職場へと車を走らせた。

時間は夜中の2時過ぎ、ようやく会社に着いた。

約1時間程で荷物をトラックに積み、2日間かけて東北地方へとトラックを走らせた。

会社の経費カットの為、高速道路は使わず下道で現地まで向かう事に。

トラックを走らす事約2時間、福井県のある大きい交差点に差し掛かった。

信号待ちをしていた私は、向かいの道路の車道に人が左手を挙げて立っているのが見えた。

こんな時間にこんな場所でタクシーなんか来ないぞ。ましてや車も居てないし。どしゃ降りやし。

私は内心迷った。

乗せたった方がいいんかなぁーでも行き先違うかったら面倒やしなー。

私の中の天使と悪魔が喧嘩をしている。

結局天使が勝ち、乗せてやろうと決心。

信号が変わると直ぐに人の横に付けた。

私「おーい、こんな時間にタクシーなんか来ないぞー乗りや!」

その人は無言で乗ってきた。

礼ぐらい言えよ。内心イラッとしたが、どうでもよくなった。

人は男だった。顔が真っ青で下を向いているので表情までは分からなかった。

私「何処までいくの?」

男「…」

何も喋らない。

少し怖くなった私は、そのままトラックを走らせた。

無言の状態が続く。

その時ふと違和感を感じた。

あれ?外どしゃ降りやのに濡れてない。何で?傘さしてなかったのに。

その時要約人間ではないと気付いた。

男は首が痛いのか、首をゆっくり横に曲げて反対にカクッと首を戻している。

首を戻すたびに、ゴキッ…と音がなる。

気持ち悪かったのを記憶している。

車内に寒い風が吹く。

その時急に男が顔を上げてこちらを見る。

私は男の顔をみて気を失いそうになった。

歯が骸骨みたいに剥き出しになっていて、鼻の天辺がデコにくっついていた。

急ブレーキを踏む私。

キキキー!!

トラックが停止すると男が静かなこえで呟いた。

「今日136号線をバイクで走っていたら、トラックに引かれたんだよ……おまえか?」

私「違います違います」

私は泣きながら何度も必死に繰り返した。

その瞬間男は消えていった。

私は腰を抜かして10分程動けずにいた。道の真ん中で止まっていたので、後ろからクラクションを鳴らされ我に帰った。

その日ふらふらになりながらも、目的地に着き荷物を降ろした。

帰り道、昼間に昨日の道を通らなくてはならない。

私は嫌々ながらも通る事にした。

信号待ちの時ふと昨日の男が立っていた所をみた。

男は居なかった…が、男が立っていた位置にでかい看板が立っている。

【先日この場所でひき逃げがありました。心当たりある方はご連絡下さい】

私は幽霊を乗せてしまったのか…。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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