小学校の頃、俺は消防士になりたかった。
理由は簡単「カッコイイ」から。
俺の学校では、何度か消防署の人が話をしに来てくれていて、そのたびに俺は消防士になりたい!って思ってた。
今思えば超単純だね。
あのときの俺は服さえ着られれば良かったのかもしれない。コスプレかっていうね。
小学5年くらいだったかな、社会科見学で消防署に行ったんだ。
もう俺はテンションあがりっぱなし。ずっとはしゃいでた。
そこで消防署の人からの説明を聞いていた。ホースは何メートルまで伸びるんだよーとかどのように消防車の仕組みはこうなってるんだよーとか。
で、質問する時間をもらえたんだ。
俺は「どうして消防士になろうと思ったんですか!?」「火に入るとき怖くないんですか!?」とか質問攻めしていたきがする。
職員の人は「私は消防士じゃなくて実際には人を助けないんだよー。」と軽くあしらわれ別の人に質問させたんだよね。
女の子の一人が手を挙げて「ニュースでよく火事のとき『この家に住む50歳の男性とみられる遺体』と言うけれど、どうしてそんなに回りくどく言うんですか?」って言ったんだよ。
俺も疑問に思った。そういえばそうだなって。
職員の人はこう言ったんだ。
「えっとね、一家全焼になるほどの火事だとね、遺体は完全に焼けてしまって顔とかじゃ判断できないほどぼろぼろになるの。しかも、落ちてきた家の梁とかが遺体に落ちてきて串刺しになったりどれがどれだかわからないくらいバラバラになるからだよ。この家に住む人だとは思うけど殺人事件だっていうこともあるからね。」
教師含め俺らドン引き。
そのあとあわてて「で、でもそんなことにならないために私たち消防士は頑張っているんだよ。」って付け加えたんだけどもう遅いって。
しかも、あんたさっき消防士じゃないっていったし・・・。
いつか死ぬときがくるのは分かるけど、せめて五体満足で死にたいな。
怖い話投稿:ホラーテラー 頑張れ!高橋、四回転!さん
作者怖話