短編2
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自己責任で、(三)

神「ぬしら何か! 何しよるんか! 馬鹿者が……!」

 一緒に入って来たBは、もう涙と鼻水でぐじょぐじょの顔になっていました。

神「ええからお前らは帰れ、こっちから出て、神社の裏から社務所入ってヨリエさんに見て貰え、後……おい!」

 すると、いきなり私を捕まえ、後ろ手に捻り上げられました。後ろで何か、ザキっと音がしました。『よし、行け』そのままドンと背中を押され、私達は訳の分からないまま走りました。それから裏の山に上がり、神社の社務所に行くと、中年の小さいおばさんが、白い服を着て待っていました。めちゃめちゃ怒られた様な気もしますが、それから後は逃げた安堵感でよく覚えていません。

 それから、Aが学校に来なくなりました。私の家の親が神社から呼ばれた事も何回かありましたが、詳しい話は何もしてくれませんでした。

 ただ、山の裏には絶対行くなとは、言われました。私達も、あんな恐ろしい目に遭ったので、山など行く筈もなく、学校の中でも小さくなって過ごしていました。

 しかし期末試験が終わった日、生活指導の先生から呼ばれました。『今までの積み重ねまとめて大目玉かな、殴られるなこら、』と覚悟して進路室に行くと、私の他にも、BとDが座っています。神主さんも来ていました。生活指導の先生などいません。

 私が入って来るなり、神主さんが言いました。

神「……あんなぁ、Cが死んだんよ」

 信じられませんでした。Cが昨日学校に来ていなかった事も、その時、知りました。

神「学校さぼって、こっちにかくまっとるAの様子を見にきよったんよ。病院の見舞いじゃないと、やけん危ないって分かりそうなもんやけどね。……裏の格子から座敷覗いた瞬間に物凄い声出して、倒れよった。駆けつけた時には、白目むいて虫の息だった」

 Cが死んだのに、そんな言い方ないだろうと思い少し口答えしそうになりましたが、神主さんは真剣な目で私達の方を見ていました。

神「ええか、Aはもうおらんと思え。Cの事も、絶対今から忘れろ。アレは目が見えんけん、自分の事を知らん奴の所には憑きには来ん。アレの事を覚えとる奴がおったら、何年掛かっても、アレはそいつの所に来る。……来たら、憑かれて死ぬんぞ。――それと、後ろ髪は伸ばすなよ。もしアレに会って逃げた時、アレは最初に髪を引っ張るけんな」

 それだけ聞かされると、私達は重い気持ちで、進路室を出ました。

 

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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