中編4
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創作3(S7)

the truth about him

ペナンの巨大な腕が地下室の出入口を突き破った。

「やった!退路が出来たぞ!ニック、さっさと外へ撤退だ!!」

「…奴は必ず倒すからな。これは一時撤退としておく。いいな、ビリー。」

「へっ、負けず嫌いか?」

「…………」

ニックとビリーは、先程ペナンに案内された通路を全力で出口目指して、ひた走った。仮設トイレの入り口が勢いよく開き、2人は外へと脱出。

「ビリー、お前は迎えのヘリとの合流地点に向かってくれ!」

「は?そしたらアイツは誰が倒すんだよ!?」

「…俺が引き受ける。」

「おいニック!頭でも打っちまったのかよ!?たった一人でしかもこんな玩具みたいな装備だけで勝てる相手じゃねぇだろ!!」

「ヘリと合流したら、すぐにこの島を焼き払う様に本部に伝えろ。それから、カメラは置いていけ。奴の存在した証拠写真を撮らなくちゃならないからな…」

「ニック、少し冷静に………」

2人の会話を遮るように、轟音と共に地面を突き破り、ペナンが再び現れる。

その様子は明らかにさっきまでのそれとは違っていた。

5mはあろうかという巨体。そして、錆びたような色をした血を纏った鋼鉄の身体。両手に光る銀のマシンガン、肘にはロケットランチャ-まで付いている…

「…!?メガトロン!?」

「ビリー!今はふざけてる場合じゃない!!」

ニックのこの緊張しきった態度が、ビリーにこの戦いがいつもとは違う次元の物だということを知らせた。

「本当に、俺がいなくて平気なのか?」

「…んな気色悪いことを言ってないで、早くヘリに合流しろ。」

「おま…、わ、わかった。ニック、必ず生きて帰ってこいよ。色々と聞きたいこともあるしな…」

「心配ない…」

ニックの表情は、緊張で強張っている様子だったが、何故かその中に余裕もあるようだった。

「………ニック、ニック・マディゾーン゙っっ!!!!」

ペナンはかなり興奮した様子で声を張り上げ叫んだ。目は完全に白眼を剥いて、口からは何か液体を吐いている。

「おいおいおい…

な、何だありゃぁ!?ヤベエ…完全にイッちまってるぜ!!」

「これでも奴と戦うか?

ビリー?」

「……い、いや。ここはお前に任せた!俺はヘリと合流して応援を呼んでくる!

でわっ!!」

ビリーは素早くカメラをニックの足元に置くと、そそくさと場を去って行った。

ニックは唖然としていたが、再び表情を引き締めた。

「ククッ、クハハハハ!ニック、ニック・マディソン!!」

「1人でトチ狂いやがって…」

「殺す!先ずはお前だ、ニック・マディソン!!!!!」

ペナンは両手肘に付いたロケットランチャ-をニックに向けて放った。

高速のロケット弾が、ニックの目前にまで迫る。

そして…

ロケット弾はニックの目の前で、ゴトンッと音を立てて地面に落ちた。

「…!?な、…何をした!?

ニック・マディソン!!貴様…一体…」

ペナンが突然の出来事に取り乱した。

「ペナン…

お前は、本当のナイトメアの能力を使いきれていない。」

「本当の、能力だと…」

「そうだ。身体のパーツを自在に操れることだけがナイトメアの能力じゃない。

ナイトメアは空間や時間さえも自在に操れる…」

「………っ、は、はは…

ハーハッハハハハ!!

ニック・マディソン!貴様は自分自身もナイトメアで、しかもこの私よりも強いと言いたいのだろう!?

下手なハッタリはよせ!

……偶々運がよかっただけだ。これで死ねっ!!!!」

ペナンは再びロケットランチャ-をニックに向けて放った。

そして、やはりロケット弾は爆発することなく地面に転がった。

「無駄だ、ペナン…

今のお前じゃ、俺には勝てない…」

「ば、バカな!く、くそ!何かの間違いだ!」

「間違い?

違うな。これが現実だ。」

「ふざけるな。ナイトメアの討伐を目的にするN.I.S.に何故ナイトメアがいる!?」

「俺はオリジナルのナイトメア。そしてペナン、お前は造られたナイトメアだ。成るべくしてなった生粋のナイトメアとプロトタイプのナイトメアとでは能力に差があり過ぎて勝負にもならない。」

「ニック・マディソン…

貴様………………」

「もう下らん話はいいだろう…ペナン?」

ニックはそう言うと無線機を手にとった。

「ホワイトフラッグ1から本部…」

「こちらフラッグコマンダー。

何があった?」

「レッドコードNの許可を願う。大丈夫だ、相棒は既にヘリとの合流地点に向かわせた。ここに目撃者は居ない。」

「了解した。ニック・マディソン少佐のレッドコードNを許可する。」

「協力に感謝する。」

ニックは無線機を切り、静かに身体の力を抜いた。

そして、1秒足らず…ペナンが状況を確実に理解する前に、ニックの身体はペナンの背後にあった。

「貴様…いつの間に!?」

「安心しろ、ペナン…

一瞬でカタをつけてやる。」

ニックの高速の蹴りがペナンの身体を捉えた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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