短編2
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流れ星の夜

あれは12月の寒い夜だった。

不意に彼女が流れ星を見に行こうと言い出した。

双子座流星群?だったかな…前々から見に行きたかったらしい。

正直、俺は乗り気じゃなかったんだけど彼女が行く気満々だったので仕方なく真夜中のドライブと洒落込んだ。

田舎の方に行けばきっと星も綺麗だよ、との事。

適当に山道を走っていて、少し開けた場所に車を止めた。

流石に対向車線から車は一台も来ない。

はぁ、と溜め息を吐き出し、ドアを開ける。

ポケットから煙草を取り出し、ライターを煙草の箱から出そうとしたが、手が滑り、ライターを落としてしまった。

「あ、やっべ!」

ライターを拾い上げ、煙草に火を灯す。

漸く一服出来る。

至福の一時。

夜空に向かって煙草の白い煙を吐く。

すると流れ星が俺の視界を横切った。

「お、流れた流れた」

何て呟き、一服し終え、車に戻る。

彼女に「やっぱ寒いよ、早く帰んべぇよ」と話掛けるが返事がない。

暗い車内に彼女のシルエットが浮かび上がる。

「おーい」と彼女の肩に手を乗せようとした瞬間、耳鳴りと激しい頭痛と共に助手席の方から「苦しい…」と言う消え入りそうな声が微かに耳に届いた。

不意にコンコン、と後部座席の窓から何かが当たる音がして俺は振り返った。

そこには寒そうに窓をノックする彼女の姿が…

一瞬、パニックになり助手席を見るが誰もいない。

確かに人の気配もしたのに。

取り敢えず車から降り、彼女にいつから外に出ていたのか聞く。

「え、○○くんが煙草吸いに行った時に私も外出たんだけど…そんな事よりあっちの方が流れ星良く見えるよ!行こ」

俺は彼女に何も言わず、逃げるようにその場を後にした。

車内にて「あ~あ、流れ星もっと見たかったのに!」と怒る彼女に先程の経緯を話すが当然信じてはくれなかった。

あれは霊だったのでしょうか?

つまらない話を長々と申し訳ない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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