短編2
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隙間8

すると「ありがとうございます。探していたんですよ」

と言うと他の人達に「見てきます」と走っていった。

少し様子をうかがって帰ろうとした時でした。

走っていった社員が戻ってくると「皆さん先に二次会行ってて下さい」と言います。

上司と思われる男性が「どうした?なにかあったのか?」と尋ねます。

「あの付近を見たのですが、〇〇さんが見あたらないので携帯に電話してみたんですよ。

近くで〇〇さんの携帯着信音が鳴っているのが聞こえました。

探してみると、どうやら電柱の奥にある狭い建物の隙間からなんです。

かなり狭いですから、たぶん出られないで困っていると思うんです」

上司の方が「1人で大丈夫か?

もし〇〇さんが怪我でもしてたら大変だ。手伝ってやれ」と全員で戻って行きました。

私も関わってしまった手前、もう少しだけ様子を見てから帰ろうと思いました。先ずは声をかけてみる。

「〇〇さん、いますか?大丈夫ですか?返事して下さい!」しかし奥は真っ暗で何も見えないし、返事がない。

1人の女性が「本当に、こんなとこにいるんですかぁ?いませんよ、こんなとこ」と愚痴を言い始めました。

先程の男性が再び携帯で電話をかけます。

奥から着信音が鳴りました。

すると女性は「携帯だけ落としちゃったんじゃないですかぁ?〇〇さんは携帯どこに落としたかわからないで探し回ってるんですよ、きっと」と面倒臭そうに言いました。

「〇〇さん困っているでしょうから、携帯だけでも取ってきます。中が暗くてよくわからないので私の携帯で〇〇さんの携帯にかけ続けてください」とジャケットとネクタイを脱いで仲間の社員に渡す。

狭い隙間に横歩きで入っていきました。携帯を預かった仲間もコールをして着信音も鳴ってます。

少し経つと着信音が止みました。

携帯を拾ったんだなと思っていると、

「うわぁあっ!!」と驚く声が響きました。

何事かと思った仲間は「おい、どうした!!!」と声をかけるが返事がない。

気がつくと私は何も考えずに駆け寄って隙間に入っていきました。

少し入ると男性の手に私の手が触れたので「大丈夫ですか?」と言いながら無言の男性の腕を掴んで力一杯引っ張って、隙間から出します。

私の腕が隙間から出ると、皆さんが私の腕を掴んで手伝ってくれました。

男性は気を失った状態です。

仲間が懸命に男性に呼びかけると目をさましました。

9→

怖い話投稿:ホラーテラー ミルキーウェイさん  

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