ある日、何処にでもいる若い夫婦に可愛い男の子が生まれました。
夫婦は、なかなか子宝に恵まれなかったので、とても大事に、大切に育てていたそうです。
しかし、ある夏の日、夫の経営する会社が倒産し、多額の借金を背負ってしまいました。
夫婦には、頼れるあても無く、途方にくれました。
すると、ある時、夫が言いました。
「これ以上、家族三人で暮らす事はできない。この子を育てる事も出来ない。僕達が生きていれば、いつかまた、子宝に恵まれる。この子を殺してしまおう。」
奥さんは、泣きくずれました。
でも、しかたがなかったのです。
夫婦は、町から少し離れた公園に子供を連れていきました。
その、公園にはとても大きな池があり、ボートが何隻かありました。
「あれに、乗ろう。」夫が言いました。
そして、家族三人でボートに乗り、池の真ん中位で、また、夫が口を開きました。
「ここならいいだろう。」
夫婦は子供もを池に投げ込みました。
しばらく、子供はもがいていましたが、力つき静かに池の底へ沈んでいきした。
夫婦は深く悲しみましたが、仕方がなかったのです。
そして、何年もの月日が流れ、借金も返し終わり、夫婦は、人並みの生活ができるようになりました。
そして、また、子供を授かり、夫婦はこの子はしっかり育てようと誓いました。
ある日の事、何故だかはしりませんが、夫婦はあの子供を沈めてしまった池のある公園に行く事になりました。
夫婦は、あの日の事を思いだしましましたが、子供が「パパ、ボートに乗りたい。」
と言うので仕方なくボートに乗りました。
そして、池の真ん中にさしかかった所で子供が、「パパ、おしっこしたい」と言いました。
夫は、「ボートの隅でしなさい。」
と言いました。
すると、子供が夫婦の方に振り返り、「パパ、ママ、もう、落とさないでね。」
と囁いたのです。
怖い話投稿:ホラーテラー 神奈川県に住むTさんさん
作者怖話