短編2
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漫画家の生霊

今日は春休みで暇なので、創作でも投稿しようかと。駄文ですが、読んでいただけると幸いです。

ある若い、雑誌の編集長がいた。彼は私の上司である。

一見ごく普通の男だったが、漫画が好きで、担当は人気少女漫画雑誌だった。

仕事は大変だが、好きな漫画関係の仕事だし、安定していたこともあって、彼は満足していた。

しかし、一年ほど前のある夜から『悪夢』に悩まされるようになった。

11月ごろだ。

その日は雑誌の発売日だった。

 みんなでつくりあげた雑誌が発売されるのはうれしいことだ。

 特に今年の夏は去年よりも投稿がふえて、新人漫画賞でいい作家が掘り出せた。

(知ってる人もいると思いますが、7,8,9月は夏休みとかぶって、投稿が増えるそうです。)

 今頃賞に応募したひとは、よろこんでいるか落ち込んでいるか・・・。

そんなことを考えながら、彼は家路についた。

家の扉を開けると、何か重い空気が流れ出てきた。

その日、私は早めに床につくことにした。

電気を消し、ベッドにもぐりこむ。

私が目を閉じた瞬間、

 かりかりかりかり

と、変な音がした。

 ちっ。何だ?ねずみかぁ?

そっと起き上がり、音のするリビングへむかう。

すると・・・

「すると?」

「いたんだよ、16歳位の女の子の霊」

うわぁ、とだれかが声をあげた。

「その子、なにしてたんです?」

期待しながら言ってみたが、答えは予想を反するものだった。

「・・・漫画描いてた。」

「え?」

ははははははははは!

周りは爆笑の渦。

「笑うなよ!!無言の威圧だぜ、あれに1年もたえたんだ」

そう言う彼も今にもふきだしそうだ。馬鹿らしくなったんだろうな。

「デビューできなくて自殺した幽霊・・・?!(笑)」

「編集長、話方上手すぎ!」

「漫画の見すぎじゃないですか。編集長。」

「そうかも」

今度は声を上げて笑っていた。

編集長実体験の怖い話から数時間後。

今年1年デビューした新人漫画家の記念会がはじまった。

私の担当する漫画家も何人かデビューするので、今回は編集長と私と社員数名で参加。

今年デビューの人たちが次々と挨拶していく中、編集長がなにか声をあげた。

「あ」

「・・・?どうかしました」

「あの子・・・幽霊。」

「は?何を言ってるんです」

言い終わらないうちに編集長に引っ張り上げられた。

私は彼の言いたいことがわかった。

それから、編集長はその『悪夢』を見なくなったらしい。

怖い話投稿:ホラーテラー カンザキ イヨさん  

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