短編2
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殺される

私には小さな頃の記憶がありません。

それはもしかしたらあの事件のせいかもしれません。

今からする話は私が成人したときに母が教えてくれたものです。

私は海に面する田舎町で生まれました。

活発で、元気な子供だったそうです。

ある日私達家族は父方の祖父母の家に泊まりにいくことになりました。

私はそのとき、7歳だったそうです。

祖父母の家に着いてからは私は姉と2人離れで遊んでいて両親と祖父母は居間で談笑していたらしいのですが、しばらくたって夕飯にしようということになって離れにいた私と姉を呼びに行ったそうです。呼びに行ったのは父でした。

父は居間を出て離れへと続く長い廊下を歩きながらふと違和感を覚えたそうです。いつもなら離れの音は廊下によく響き、子供達の遊ぶ声が聞こえるそうなのですがそのときは静かだったのです。

寝てしまったのだろうか。

そう思って離れの扉を開けたらそこには姉がピクピク痙攣しながら倒れていたのです。

父は急いで駆け寄りました。

「どうした!?しっかりしろ!!」

父は大声で他の家族を呼び姉を介抱しました。そこで母が言いました。

「さやか(仮名)は?」

さやかとは私のことです。

そう、家のどこにも私はいなかったのです。

家族はすぐに姉を問いただしました。

すると姉は虚ろな目で

「お墓、さや、か、殺される」

と言って意識を失ったそうです。

さやかが殺される!そう思った家族はすぐにお墓に向かいました。祖父母の家の近くには墓地があったので皆すぐにそこだと直感したそうです。

そこで家族は皆絶句しました。

墓地の中央には、口から血を流し満面の笑みで笑う私がいたのですから。

また、私の真後ろにあった墓には魔法陣のような怪しい何かが血でかかれていたそうです。皆ぞっとして墓からすぐさま私を連れて離れました。

私はこのとおり、事件から時間が経った今ピンピンしています。7歳以前の記憶がないだけです。

何故私が墓にいて、血だらけだったかは未だ不明です。

でも私はこの話を聞いて思ったことがあります。

「お墓」で「殺される」予定だったのは、実は私ではなく姉だったのではないでしょうか。姉は私が殺されるとは断言していません。それに今現在姉はめったに私に近づこうとしませんから。

記憶が戻る日が来たら私はどうなるのでしょうか

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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