中編3
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人体竹刀

この話は多少剣道の知識をもってないと内容が分からないかもしれません。

あと1週間程で高校生のAはとにかく部活の事しか考えていなかった。入るのは勿論剣道部。小学生から剣道をやっていて中学では先輩を差し置いてレギュラーを獲得する程の実力をもっていた。彼は剣道が大好きだった。毎日毎日剣道の事しか考えていなかった。でも中学の剣道なんてお遊びにすぎなかった。ただ竹刀を振り回しているだけの退屈な生活だった。

でも高校は違うのだ。

レギュラー争いが激しく何より大会の時期は先生達がよく生徒を観察する。だから余計熱くなってしまう。

そんな素晴らしい高校ライフを考えていた。

ある日Aはふと中学の時に使用していた竹刀を見た。

柄が青黒く汚れていて竹は割れかけていた。Aは顔を曇らせ、

「こんな汚い竹刀で高校の剣道デビューがはたせるか」

と呟いた。

そこでAは新しい竹刀を買うため貯金をおろした。全額で3万あった。Aは札を握りしめ家の近くの武道専門店に向かった。

店の入り口の近くに竹刀は並んでいた。右端から左端まで竹刀を眺めた。

しかしある竹刀は安い竹刀ばかりだった。一番高くて5000円程度だった。Aは溜め息をついた。Aはもっと高くて高級感あふれる竹刀での高校デビューを望んでいた。仕方なくAは店を出た。

そこでふと入り口横の広告板が目にとまった。大きめの広告板の真ん中に一枚の広告がポツン、と貼っあった。

Aは顔を近づけて広告を読んだ。そこにはこう書いあった。

当店オリジナル!こんな竹刀見たことない!超高級・白い竹刀!詳しい事はこちらまで・・・

と、店の地図が記載されてあった。

Aは目を光らせ反射的に地図通りの道を走っていた。

10分程走った所にその店はあった。店と言うよりただの民家だった。本当に店なのかと疑いながらAは店の中に入った。店の中は普通の武道店とは変わらず剣道の防具や普通の竹刀が並んでいた。

「いらっしゃいませ」

突然奥から男の声がした。Aはビクっとして1歩後ろに下がった。

「そんなに驚かないでください」

その言葉と同時に年齢40くらいの男が出てきた。

男はにっこりと微笑むと、

「何をお探しで」

と訪ねてきた。

Aは警戒しながら

「広告を読んで・・・白い竹刀を・・・」

と言った。

すると男の顔から笑みが消えた。そして重い声で

「誠に申し訳ございませんが・・・ただ今材料を切らしてまして・・・」

と言った。

Aは残念そうに

「あぁ・・・そうなんですか・・・」

と言って店を出ようとした。

すると待ちなさい、と男はA

を引き止めた。

「お客さん、剣道は好きかい?」

と聞いてきた。Aははい、と短い返事をした。

「そうかいそうかい。なら・・・自分が竹刀の材料になってもいいね」

「え・・・・・」

ざく・・・・・・・・

Aが聞き返そうとすると背中にナイフが刺さったような音がして同時にAはその場に倒れた。

そして男は肉塊になったAの背中にナイフをいれ一気に下へおろした。ごぼごぼと血が溢れ出てその中から背骨が見えた。男は背骨がっしりと掴むと一気に引き抜いた。Aの背骨を掴んだまま男はAを見下しながら言った。

「あと3人来ればね、貴方のこの骨は竹刀の竹の部分になるんだよ。あぁ安心して

。貴方のその皮は柄になりますから。お肉は固めて先ゴムに、神経は神経通しを繋いで弦に、血は弦を赤く染めるために・・・他の骨も小学生用竹刀や飾りのためのミニ竹刀で使ってあげますからね。いいでしょう?

自分が好きな物になれるのだから・・・」

怖い話投稿:ホラーテラー 赤い死神さん  

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