短編2
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解体の末。

はじめまして。

私は中学三年の夏から近所にある小さな会社にバイトで雇ってもらい、解体の方で働かしてもらえるようになりました。

父親が突然死んで生活が苦しかったため、

食べ盛りの弟が四人居るし

せめて食費だけでもと‥

と学校には行きたかったですが

先生達と話をして働く事を決めました。

母さんも私の気持ちを受け止めてくれました。

働きだして何ヶ月か経ち、

いつのまにか季節は

冬になっていました。

いつものように朝6時に出勤。

事務所を温め、掃除機をかけて

コーヒーを作り社長や

先輩達を迎える準備をしていました。

8時前になり、みんな出勤してきます。

今日の解体の場所への道の説明が

簡単に黒板に書かれ、

メモを取って先輩が運転をする

ダンプに乗り込みました。

『今日の家は何十年も人が手付けてへんから足場に気を付けるんやぞ。屋根も抜けかけてるみたいやしいつも以上にな』

とおっちゃんが言い、軽く返事をすると少しのあいだ助手席で到着するまで仮眠をとりました。

現場には一時間程で着き解体にかかりました。

昼になり、みんなでご飯を食べていると一人のおっちゃんが

『さっき家ん中で影見た。わしが階段落とした時、影が二、三、走ったん見えたわ』

とお弁当をがっつきながら言いました。

解体現場ではたまにある事なんで私もみんな

へぇ〜気持ち悪いなって感じだけでした。

昼休みも終わり、

私は外で散らばった壁などを

運ぶ作業をしていました。

作業をしだして

もうそろそろ終わりやな〜‥

とタバコに火を付け、

近くに居たタバコ吸ってる

おっちゃんの横に行きました。

『‥この家、仏壇やら上げてある写真置いたままやったなぁ。たまにあるけど処分しにくいよな』

とおっちゃんが呟きます。

私もため息をつきました。

そして最後柱が倒れた時でした。

家の形が無くなった瞬間、

ぶわっ!といくつかの黒い影が

凄い早さで空に昇っていきました。

それは土埃ではなく、

見た瞬間とても切なく

悲しくなったのを覚えています。

怖くなかったのですが

不思議で何とも言えない

気持ちになった体験でした。

こんな目茶苦茶な文章を

読んでいただきありがとうございます

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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