短編2
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生き霊2

この友人とは五年前の勤務先で知り合ったのですが人の好き嫌いがはっきりしている性格で他人を寄せつけない雰囲気が職場では敬遠されていました。

あるとき、その男が2日間無断欠勤をして、電話しても連絡がとれないので私は休日であったが上司から様子を見てくるように言われ、男の住むアパートへ。

呼び鈴を鳴らし玄関外から声をかけます。

しかし返事がないので帰ろうすると、部屋から何かを落とした物音がしたので、もう一度呼びかけてみます。

微かに「うーー!」と唸る声がしたのでドアを開けてみました。

施錠されていなかったのでドアは開き、中を覗くと男がうつぶせて倒れています。

「どうしました?大丈夫ですか!?」と側へ行き、男の体を起こそうとしますが見た目から想像できないような異常な重さで動かせません。

男の額からは大量の汗が流れて衰弱しています。

私一人で男を病院まで連れて行くのは無理だと判断し救急車を呼びました。

二名の隊員の方が男を運ぼうとしますが痩せ型の男なのに尋常でない重さに驚いています。

私も手伝って大人三人の力でなんとか引きずり出すように動かすことができました。

病院へ移して私はしばらく待合室に。

すると看護師に呼ばれて医者のもとに。男の病は原因不明で点滴の針を何度試しても皮膚が硬化しているために針が通らず使用することができません。

ここでは治療ができず、放っておけば命が危ういので大病院へ移すことを薦められました。

私はこの日、お寺に先祖の塔婆供養を御願いしていましたが今からでは間に合わないので、一度病院の外で携帯から電話をし御住職様に事情を申し上げました。

すると「……今…どの…病…院…か…ら…で…す…か?」と電波の影響なのか聞き取りが困難でしたが病院名を告げると、「…待っ…てい…て…下……さい」と言われて通話が途絶えます。

外で携帯電話を使用していたのは他に数人いましたが誰も問題ない様子で、私の携帯だけ電波が圏外になっていました。更に一時間半程待っていると車で三人の男性が御住職様の言いつけで来てくれました。

電話で私から病状の説明を聞いて気になったそうですが通話の途中から突然雑音が酷くなり、数人の声が入り乱れてきたので病気ではないと確信されたそうです。

このままでは私も今日中に何らかの事故に遭わされる危険があるので私とその男を、お寺に連れてくるようにとのことでした。

→3

怖い話投稿:ホラーテラー シルキーデイさん  

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