その日、両面スクナを見た

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その日、両面スクナを見た

こぴぺ

こちらの話を読んでからの方が楽しめるかもしれません。

【738】リョウメンスクナ

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342 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2005/09/27(月) 19:13:11 ID:Wvtx/n2Q0

流れぶった切ってスマソ。

前スレにあった、リョウメンスクナって話スゲー気になって。

アレと似たヤツ、見た事あるんだわ。

つーか、誰にも言うなって言われたんだけど、なんかちょっと吐き出して楽になりたいっていうか。

だから、特定されそうな地名とか省くし、乱文長文で読みにくかったらスマソ

去年、バイトで解体の仕事してた時の事なんだけど。

その時の現場が火事で全焼したっていうお寺だった。

メンバーは監督と俺と友人Aと東南アジア系の出稼ぎ二人。

そこそこ大きいお寺だったけど、庫裏とかいう坊さん達が住んでるあたりまで全部丸焼け。

怪我人や死人もけっこう出たらしくて、その辺は警察や消防の人が運び出した後だった。

俺らは消し炭になった柱とか、煤塗れのガレキだとかをせっせとのけた。

なんか放火らしいとか、監督たちがヒソヒソ話してるのが聞こえた。

火元は本堂で、でかい仏像が焼け落ちた屋根の下敷きになってぺちゃんこになっていた。

今日中にあれを掘り出せとか言われた。

正直無理だよなーと思いながら、本堂(跡地)に入ると、Aが床に大穴が空いている事に気づいた。

床板が焼け落ちて、深く、大きな穴が地面に掘られているのが見えた。

そして、その穴の底に、大きな細長い木箱があった。

347 :342 : 2005/09/27(月) 19:32:25 ID:Wvtx/n2Q0

大きさは……棺おけより一回り大きい感じ。

煤や泥に塗れていたけど、真新しい白木の箱だなーと思ってたら、新しいのは蓋だけで、箱本体はえらく古びて虫食いだらけだった。

そんな箱の状態より何よりも、箱全体にベタベタと御札が貼られてあったのが、いかにも意味ありげだ。

A「これって……ひょっとしてアレじゃね?」

俺「アレって?」

A「リョウメンスクナ」

この時、俺はAから聞かされて初めてリョウメンスクナの話やオカ板の事を知ったわけで。

お寺の解体工事とか状況がまさにそのまんまで返って笑えた。

A「やべーよ。マジやべーって、見ただけでも寿命縮むんだぞ、まともな死に方できないんだぞっ」

当時の俺は、幽霊を信じるとか信じないとか言う以前に、こういう類のは舐め切っていたので箱の蓋をあっさり開けた。

本気でびびってるAの姿はマジでウケた。

同じ状況だから、同じモノが入ってるって、同じ目に遭うと決めてかかるあたり、どんだけ低脳なんだよって。

どうせ中身はしょうもないガラクタとか、古い事だけが自慢の掛け軸とか経文とかそんなもんだろうと思ってた。

だけど箱の中にあったのは、俺とAの予想の斜め上をぶち抜いていた。

A「なんだよ……これ」

俺「うげー。気持ち悪ー」

箱の中には畸形のミイラが入っていた。

ただし、人ではなく動物のミイラだ。

それもたくさん。

ギッシリと。

犬、猫、猿、蛇、亀、ニワトリ、蛙、鼠、狐、鯉、狸、鼬……そのほかなんだかよくわからないモノ。

どれも頭が二つあって、手足の数も無駄に多い。

リョウメンスクナと同じように。

全部カラッカラに乾涸びてるから、入ってる数はかなりのものだろう。

Aは真っ青になってへたりこんで何かブツブツ呟きだし、遠巻きにみていた東南アジア系まで騒ぎ出して、監督を呼んできた。

俺「コレ、どうしましょうか」

監督「動物の死体だから、燃えるゴミだな」

A「そうじゃねえだろおおおおおおお!?」

呪われるー!と騒ぐA

携帯でオカ板や洒落怖のまとめサイトを出しては、監督に見せて、リョウメンスクナについて熱弁を奮う。

監督「あー、人魚のミイラと同じ口かぁ……ほら」

A「ギャー!」

監督はそんな事を言って、箱から猿のミイラをがさっと一つ掴み出して、Aに突きつけた。

監督「よく見ろって、縫い目があるだろ。作り物だ」

353 :342 : 2005/09/27(月) 19:56:14 ID:Wvtx/n2Q0

言われたとおりよく見ると、頭と頭の間や身体を側面を、太い糸で酷く乱雑な縫った後が走っていた。

俺「それじゃニセモノなんすか、コレ?」

監督「材料は本物の動物だろう、昔……江戸時代くらいか、漁村とかでこの手のグロい剥製が作られて売られてたんだ。外国人向けにお土産にな」

A「お土産ー!?」

見ただけで寿命が縮む呪仏が、地名入り提灯と同じ扱いwwww

監督「猿と魚の剥製を繋ぎ合せて、人魚のミイラとか、鴨の水掻きつけて河童とか、牛の角をつけて鬼の首でございますとか、そんなノリでな」

ゲラゲラ笑う監督。

大学出だから物知り。

大学まで出てるのに、解体工事の監督止まり乙。

監督「こいつは、その売れ残りだか失敗作だかをまとめて供養しようとしたんだろうな」

これで話は一旦終了となり、作業開始になった。

箱は昼過ぎにお寺の人が取りにきて、監督としばらく何か話していたけど『中をみたんか!?』と凄い剣幕で問い詰められる事はなかった。

三日後。監督が死んだ。

事故だと言われた。

葬式に行ったけど、棺の中は見せて貰えなかった。

親族らしい参列者が『真っ二つだ』とか言っていた。

どんな事故だよ。

Aがやっぱり呪いだとか言い出した。

どんな呪いだよ。

土産物の呪いって何だよ。

その時は馬鹿馬鹿しいと言い切ったけど、その三日後、東南アジア系が二人まとめて死んだ。

やっぱり事故。

事故じゃないと説明できない死体だったらしい。

どんな死体なのか見てないからさっぱりわからないけど。

その翌日からAと連絡がとれなくなった。

この少し前から不審な人影が、家の周りに現れるようになっていた。

そいつらが、俺を見張っているという事にようやく気づいた。

俺はもう笑ったり馬鹿にしたりできなくなった。

これが祟りであれ、人為的な何かであれ、どちらにしろ――次は俺の番なのだ。

そう思うと怖くて仕方なかった。

402 :342 : 2005/09/27(月) 21:10:44 ID:Wvtx/n2Q0

スマソ。

PCの電源落ちてた。

二日後、部屋に閉じこもって布団を被っていた俺を訪ねてきたのはAだった。

無事だったのか。

げっそり痩せこけて、顔色どす黒くて、目ばっかりギラギラして、あの時の箱いっぱいのミイラより怖かったけど、Aは生きていた。

俺「A……おまえ、どこに行ってたんだよ」

A「ずっと逃げてた。あいつから」

俺「あいつって何だよ」

A「リョウメンスクナ」

俺「まだそんな事言って……」

A「どこまで逃げても追ってくるんだ。ぴったりと真後ろについてくる」

俺「誰もいないぞ」

A「いるんだよ!わからないのか……っ!ひゃあああああああああああああああああああああああ」

俺「おいA!!」

Aはいきなり甲高い叫び声をあげると、走り出そうとして転んだ。

そしてそのまま床を凄い勢いで這い回りだした。

まるで何かから逃げ惑うように。

A「来る来る来る来る来る来る来る来る来る来る来る来る」

俺「何が来るってんだよ。いねぇよ誰も!!」

がさがさと這い回っていたAは壁にぶつかると、そのまま壁にぴったりと背中をつけた。

壁に背中がついているのに、Aは脚をばたばたと動かしてなおも後ずさろうとする。

A「来る来る来る来る来る来る来る来………来た」

ドンッ

突然、鈍いような音がして、Aの頭が膨れ上がった。

Aの右側頭部から首筋にかけて、まるでバレーボールが半分埋まっているような丸い膨らみが現れ、それが徐々にせりあがっていく。

出てこようとしている。

A「あっ…あがががががががががぐぎぎぎぎぎぎぎぃっ」

大きくなる膨らみにAの顔の皮が引き攣れ、大きく歪んでいく。

A「ぉごおおおぐげげげげげべががががががががが」

ばたばたとでたらめに跳ねる手足も丸太のように膨れ上がっている。

何だよこれはっ!?

何が起こってるんだ!?

ミチミチと幽かな、何だかよくわからない音がAの苦しむ声に混じって聞こえた。

A「げごごごごごいいいいいいぃぃぃぎががががが……ビィッ!!」

ばつんっ

物凄く嫌な音を立てて、Aの頭の皮が弾けた。

Aの頭から出てきたのは、血塗れの

Aの頭だった。

405 :342 : 2005/09/27(月) 21:30:02 ID:Wvtx/n2Q0

俺「Aの頭が……二つに」

A「げぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」

Aが叫んだ。

出てきた方の頭だ。

元の頭はがっくりとうなだれて、口から血とかヨダレとかを垂れ流している。

玄関でチャイムが鳴るのが聞こえたけど、それどころじゃなかった。

ぶちぶちと音がして、Aの手足の、指からつま先まで切れ目が走り、血が溢れた。

ビチィィィィィィッ

湿っぽく鋭い音を立てて、左腕から左腕が出てきた。

右足からも右足が出て始めた。

じきに右腕も左足も出てくるだろう。

俺「……リョウメンスクナ」

Aの頭がこっちを向いた。

目があった。

次の瞬間、坊さんの集団が部屋になだれ込んだ。

俺「ちょっ……オイあんたら何なんだよ!」

坊さん達は俺を完璧に無視してお経みたいなのを唱えながら、暴れるAを押さえつけた。

それから、太くて長い針をAの腕に突き刺した。

A「ギェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ」

針には太い糸がついていた。

坊さん達は、二つに分かれかかっていたAの身体を無理矢理縫い合わせた。

手も足も。

指も踵も。

瞼も耳も頬も口も。

ぶすぶすとAの全身に針が刺さり、ズルズルと糸が通っていく。

やがてピクリとも動かなくなったAを担ぎ上げると、坊さん達はどこかに行ってしまった。

俺に一言の断りも説明もなく。

ただ、去り際に『この事は誰にもいうな』と言い残して。

それ以来、Aがどこに行ったのか、どうなったのか俺は知らない。

Aの実家を訪ねたら空き家になっていた。

あの坊さん達もどこに行ったのかわからない。

だけど俺を見張っていたのはあの坊さん達だったのだと思う。

謎ばっかり残してスマソ。

俺もできれば、あの一連の出来事が何だったのか知りたい。

782:342 : 2005/09/27(月) 23:56:29 ID:Wvtx/n2Q0

これが最後のカキコ。

みんなありがとう。

悪いけど、やっぱり知りたくない。

だって、皆の言うとおり順番おかしいだろ?

わからない。

知りたくない。

俺はいつから……いつまでが俺自身だったのかなんてよ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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