7年くらい前の話。
久しぶりに帰省した私は、墓参りに行くことにしました。
先祖代々の墓ですが、特に自分を可愛がってくれた祖母に会いに行くという気持ちでした。
そこは実家の方では割と有名な、郊外のかなり広い霊園で、きれいに区画されています。
墓石を良く洗い、草むしりをし、花と線香を手向けた後、持ってきたオニギリを食べながら一服していると、ふと あるモノが視界に入りました。
隣の墓の中央に立つ墓石に、ポツポツと幾つか緑色の点があるのです。
表面に光沢のある比較的新しい御影石の墓石なので苔などとも思えず、何かの汚れにしては厚みが感じられました。
その瞬間に「珍しい虫かも?」と思いました。
好奇心に勝てず、一応手を合わせた後、近付いて見てみました・・・。
かなり近寄るまで認識出来ませんでしたが、それが何か分かると同時に、あまりの気味悪さに凍りつきました。
点は合計7つ。
墓石の前面に4つ、上の面に3つ居ました。
それぞれ直径は2センチ程。
全てが人の形をしているのです。
質感はアゲハチョウの幼虫によく似てマットなカンジ。
色はそれより濃い深緑。
体型は胎児のようで、正座したままうずくまった体勢。
前面のモノは頭が上方を、上の面のモノは奥の方を、揃って向いていました。
足の指まで確認出来ました。
視線を外すことも出来ず、どのくらい経ったでしょうか・・・
前面の1匹(?)が、モゾリと身じろぎしました。
私は、呪縛が解けたように「うわっ!」っと声を上げて飛びのきました。
すぐに帰り支度をして、なるべくソレに視線を向けないようにして逃げ帰って来ました。
今でもアレが何だったのか分かりません。
以来、何かと理由をつけて、墓参りには行っていません・・・。
怖い話投稿:ホラーテラー しゃもんさん
作者怖話