短編2
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廃屋敷からのメッセージ

昔、祖母に聞いた話です。

私の住んでいる所の近くには森があり、

その奥の、一番奥。

暗く影った誰も訪れないような所に、古くて不気味な廃屋敷があるのです…

それは一昔前…暑い暑い、夏の日のこと。

その屋敷には、とても裕福で仲のいい家族が居ました。

優しい母に父、しっかりした息子、可愛い娘、それにたくさんの使用人たち。

静かな森の奥にある屋敷からは、笑い声がいつも聞こえてきていました。

…でもそんな平和は、直ぐに崩れてしまう事を…誰も知りませんでした。

いつもと変わらぬ1日。

娘はゆっくりと目を開きました。

優しい母に父、兄が優しく髪を撫でます。

何も変わらぬ1日のはずでした。

突然玄関を突き破る音がしました。

使用人の悲鳴や、何者かの怒声が耳をつんざきます。

…恐らく数人ほどの、決して多くはない人数のはずなのに。

使用人たちはたちまち屍になり屋敷に山を作りました。

灯油を撒き散らしながら、相手は近づきます。

そしてついに家族が居る部屋に入ってきました。

娘は悲鳴をあげます。

父母と兄は必死に相手に抵抗します。

しかしお金持ちでほとんど外に出ない彼等の体力などでは、ただの足止めにしかなりません…

父は刃物で刺され、母は鈍器で殴られ、妹を庇った兄は銃で撃たれてしまい…

娘の目の前に広がる血の池、地獄絵図…

家族の屍が中心に3つ転がっています。

娘は自分を追い詰めます。

ついに極限まで娘の恐れや怒りは腫れ上がり、娘の理性はプツリと切れました。

相手から刃物を奪い、娘は一心不乱に刃物で相手をめった刺しします。

極限を超えた娘には、有り得ない程の力がありました。

油断していた相手はなすすべもなく刺されてしまいー…

目の前には相手と家族の屍がありました。

相手のうちの一人は、最後の力を振り絞って撒き散らした灯油に日を付けました。

娘は発狂状態で逃げることもできず、そのまま火に包まれてしまいました。

警察が通報をうけてやってくると、

真っ黒に焦げた屋敷のなかから、家族の遺体と相手の遺体が見つかりました。

ーそれ以来、誰一人その屋敷に近寄るものも、ましてや住むものも出ては来ませんでした。

しかしそれから数ヶ月後…

その屋敷の付近で、奇怪な現象が起こるようになったのでしたー…

後編に続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 奏夜さん  

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