俺の兄貴は幽霊と言うものを全く信じていないらしい。
今日も兄貴は俺に、幽霊否定論を力説する。
「いいか、この世の中に幽霊なんてものはいないんだ。
あれは人間が作り出した死に対する恐怖心だ。
死は全人類共通の恐怖だからな。
だいたい死んだ人が幽霊になるとしたら、一体どれくらいの数の幽霊がいるんだよ。
もう、あっちもこっちも幽霊だらけだっちゅうの!
死んだ人が恨みを晴らすために化けて出るとか言うけど…
そしたら警察はいらないちゅうの!
まあ、要するにさ、みんな怖いんだよ…
死が…
だから妄想ばかり膨らんで、おぞましい力を持つ幽霊像を作りあげるんだ。
死んだ人間が生きてる人間より強い訳ないだろ!
空飛んだり、壁すり抜けたり、なんか超能力みたいなの使ったり…あり得んがな…
そう言う訳でな、幽霊なんていないんだ。
死んだら肉の塊になるだけ。
死んだら何もない。
死とは【無】と言う事なんだ…
分かるかな…。
幽霊幽霊なんて言ってる奴は、ただの馬鹿だ。
霊能力者もそうだ。
ただの馬鹿だ。
まあ…
馬鹿は死ななきゃ直らないって言うからな…
上手い事言うよな。」
三年前に死んだ兄貴はたまにこうして俺の前に表れて何度も何度も同じ話を繰り返す…
俺はこの時いつも思う。
(馬鹿は死んでも直らないんだな…)
と…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話