短編2
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日本の城

私の友人から聞いた話。

日本には、いまだ数多くの城が残っている。

有名なもので言えば、姫路城、熊本城、名古屋城など、(他にもまだたくさんあるが、ここでは省略)皆さんも直接見てはいなくても、写真で見たり、聞いたりしたことはあると思う。

しかし、一部の城マニアの人たちは、そんな有名な城など、何十回と行っている。

では、そういった人たちは次に何処へ向かうのか?

誰も知らないような、人里離れた山奥の城へ、彼らは足を運ぶのである。

そこは、ほとんど人の手が入っておらず、ジャングルでも探検するかのような重装備で、彼らはお目当ての城へむかうのである。

だが、年間に何人か、そういった城探検に行ったまま、帰ってこない人がいるのである。

これが、その城にいった事が原因なのかどうかは分からない。

しかし考えてほしい。

そういった城の数々は、当然人の管理がされている訳がなく、その城から人がいなくなり、主がいなくなったそのときのまま、そこに残ったものがほとんどだ。

いうまでもなくそこは昔、人が住んでおり、城主である大名がおり、その家来がおり、そこで生活をしていたのである。

時には、敵に攻め込まれ、大勢の人がそこで命を落としているかもしれない。

つまり、そこでの人々の日々、そして生と死が、そのままそこに残っているのである。

そこに入れば、そこはもう別世界。当時の人々の思い、志半ばで討ち取られた大名の思い、そして、儚く散っていった武士の思い。そういったものが、その城にうずまいているのである。

そんな所へいくのだから、なにか起きてもおかしくないと思いませんか?

また、これはある城に訪れた家族の話。

その城は、(詳しい場所は分からない)近くに大きな野原があり、周りを柵で囲まれてるらしい。

遠くから歩きながら、城の外観をその家族が見ていると、一人テンションがあがり、先を走っていた子どもが、

「おかーさん、お侍さんがたくさんいるよー。」

と、野原ほうを指差し、興奮気味にかけ戻ってきた。

子どもに無理やり引っ張られながら、

(なんかショーでもやってるのかな?)

と思い、連れてこられた野原を見ると、そこには人の姿なんて一つもなかった。

「あれ?どこにもお侍さんなんていないよ?」

と子どもに尋ねると、

「おかーさん何言ってるの?たくさん居るでしょお侍さん。でも、けがしてる人もいるねー、ねてる人もいるよー、みんなすっごくつかれたぁー、って顔してるね。」

その家族は、すぐ家に帰ったという。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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