中編4
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赤い窓

大学生になったばかりのAは、一人暮らしを始める事にした。

(どんな所でもいいから、出来るだけ安い所がいいな。)

と考えていたAは、とにかく安い物件を探した。

だが、そんなAが住む事に決めた所は、なんと新築の綺麗なマンションの一階の部屋だった。

普通なら、家賃八~十万円ぐらいだが、なんとそこは家賃四万円というかなり安い金額で住む事ができた。

(もしかして何かいわくつきか?)

と思ったAだったが、理由はごく単純で、すぐ近くを電車がはしっており、その音がうるさいという、霊的なものはいっさい関係の無い理由だった。

(この値段でこんないい所に住めるなら、文句はない)

Aさんは、そのマンションに引っ越す事を決めた。

引越し当日、荷物運びを済ませたAは、綺麗な部屋の中をぐるりと見回した。

「ほんっといい部屋だなー。.......ん?」

Aは部屋の中を見回してる内に、妙なものを見つけた。

それは、赤い窓。

窓枠が真っ赤に塗ってある、木製の窓。ガラスの部分もとても古く、ところどころヒビがはいっていた。

「あんなの、最初に見に来たときあったっけ?」

見逃したのかと思ったが、とても見逃すような場所ではなく、さらに窓にしては位置が低すぎる。

「.......何か気味わりぃ。」

いわくつきではないと分かっていたが、その窓は明らかに変だった。

「まぁ、いっか。」

引越し初日ということもあり、彼は気にしないことにした。

「がら.....がらがら....」

真夜中、Aは何かの物音で目が覚めた。

「なんだ.....?」

その音が、赤い窓のほうから聞こえるのはすぐに分かった。

「窓が開く音?.......泥棒かっ!!」

Aは赤い窓のほうへ視線を向けた。

一瞬、Aはそれを大きな蛇かと勘違いした。

人の足ぐらいの太さの、細長い蛇のような体の先にある、髪の長い女の顔。それが、器用に口で窓を開け、部屋の中へ、ズズッズズッズズッと入ってきた。

(何だよ.....これ.....)

Aは、恐怖で動けなくなった。

そのときだ、

「.........!!!」

Aはそれと目が合ってしまった。

するとそれは、ズズッズズッとAに近寄ってきた。その女の顔は、憎しみと恨みに満ちていた。

(頼むっ動けっ動いてくれ!!)

Aの体は、金縛りになったように、動かなくなってしまった。

(いわくつきじゃねえかよ!!)

Aがそんな事を考えている内にそれは、Aの周りをとぐろを巻くように囲んでいた。

よく見ると、それの体には無数の女の顔があった。どれも、恨みや憎しみに満ちた顔だった。

そしてそれは、Aをにらみつけ、

「お前はあいつの子孫か!!」

Aはそこで、気を失った。

「ううぅ......あれ?」

気がつくと、もう朝だった。

(昨日のあれは夢か.....)

Aは、はっ!と赤い窓を見た。

赤い窓は、ちょうど昨日のそれが通るぐらいのすきまが開いていた。

「もう、こんな所居られない!!」

Aは、親の居る実家へ飛ぶように帰った。

「おっ、どうした、もう帰ってきたのか。」

Aは実家につくと、父親にそう声をかけられた。

「......恐かったー!!」

Aは思わず泣いてしまった。

「?どうしたんだよ、急に。」

Aは、その部屋の事を話した。

「.....まったく、なんもねえって言ってたのに、とんだ目にあったよ。あーあ、また部屋探さなきゃ。」

「........」

「あれ?嘘だと思ってる?」

「.....思ってねえよ。」

「じゃあ何で黙ったんだよ。」

「....それ、多分部屋じゃなくて、お前に憑いてるんだよ。」

「えっ!!」

「いや、実はな.....」

Aの父が言うには、こういう事だった。

Aの祖先は、とても女遊びが激しく、色んな女性から恨みを買っていたらしい。何度か殺されかけた事もあるという。

祖先やその女の人達が死んだ後、Aの家の男が、女の頭をした蛇に襲われる事が相次いだという。

これは女のたたりだ!!

A家の子孫はそれらを鎮める為、祠を作ったという。すると、A家の男が襲われる事は無くなったという。

「......でな、最近それにがたが来てな、なおさなきゃならんなーっと思ってたら、お前のその話、もう少し祠の力が弱まってたら、お前も危なかったかもなー。」

さらっと言ったその言葉に、改めて恐怖をAは感じた。

「で、何で赤い窓なんだよ?」

「えっそりゃ多分、祠の横にある赤い窓だよ。それがお前の所に現れ、お前の所と祠をつなげ、その女の化け物の通り道になったってことじゃねえのか?窓が低い所にあったのは、祠が小さかったから、それの高さにあわせたからじゃないのか?」

Aの父の話には妙に説得力があった。

数日後、Aの父親が祠を直しに行った後は、赤い窓もなくなり、それが現れる事も無くなったという。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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