中編4
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忘れていく

投稿を読んで以前似た話を聞いた事を思い出したので、書かせていただきました。

ラジオ局のディレクターだかプロデューサーだったAさんから聞いた話です。

Aさんが幾つか持っていた番組の一つに、深夜枠でパーソナリティーにアイドルの女の子を使ったものがあったそうです。

ある年の夏、季節がらという事もあり、お決まりの様に怖い話特集となりました。

リスナーから怖い話を募集して面白ければ採用し番組内で取り上げるといった良くある企画。

メールがさして普及していない頃、FAXが主だったでしょうか、とにかくその時は電話での募集はしていなかったそうなのです。

しかし、一本だけ局に電話でのリスナーからの応募がありました。

電話を受けたスタッフがAさんに

「相手は若い男性の様なのですが、直接会って話したいと言っているのですが」

と言って来ました。

当然電話募集はしてないので、断るように言ったそうです。

ところが直ぐにそのスタッフが、相手がどうにもしつこくてと困り果てて来たので、Aさんが応対を代わりました。

好いようにあしらって電話を切ろうと思ったAさんでしたが、男性のあまりの熱意にとうとう

「分かりました。では、こちらに来ていただければ私ともう一人のスタッフとでお話を聞きましょう。それで面白いと判断したら、採用という事で。但し、パーソナリティーの女の子とは会えませんよ」

と言い、男性はそれでもいいと納得したそうです。

Aさんはイタズラの場合もあると男性が来る事に半信半疑でしたが、暫くして本当に一人の男性がやって来ました。

早速男性を局の一室に通し、一人のスタッフと共に話を聞き始めました。

それは、その男性Bさんが友達4人と一緒に心霊スポットに行った時の話だそうです。

Bさんが運転するBさんの車で男5人、出ると有名なあるトンネルに行きました。

ところが何往復かしてみたけれど結局何も起こらなかったそうです。

仕方が無いのでそのまま帰ろうと言う事になりました。

帰りの車中、拍子抜けだったななどと暫く愚痴っていたのですが、不意に後部座席から

「うわっ!」

と言う声が聞こえてきました。

「どうした?」

とBさんが聞いたのですが返事が返ってこない。

不思議に思い後ろを見ようとしたのですが振り向くわけにもいかずバックミラー越しに後部座席を見ました。

セダンタイプの車に助手席に一人後部座席に三人が並んで座っているのですが、後部座席の真中の奴が両手を前に突き出し、両脇の二人がそいつの腕を抱えるようにしてるのが見えたそうです。

――なにやってんだ?――

ぱっと見では分からなかったのですが、良く見ると真中の奴の体がシートに半分くらい埋まってました。

いや、良く分からないけどそう見えたそうです。

で、両脇の奴らは徐々にシートに埋まっていくそいつを必死に捕まえようとしてたみたいなんです。

でもあれよあれよとそいつはシートに吸い込まれて、終いには完全に消えてしまいました。

あまりの状況に全員パニック状態で、とにかく車を止めてそいつを探しました。

みんな完全に混乱してて、落ちたんじゃねえかとか言って歩いてきた道を戻りながら探したそうです。

しかしトランクの中も見たけど見つからず、仕方が無いので一旦帰って落ち着こうという事になりBさんの家に帰ったそうです。

帰ったはいいが状況が状況なだけに全く整理が出来ず、もともとアイツ来なかったんじゃなかったけとか言い出す始末。

「じゃあこうしよう。今からアイツん家行ってみよう。もしかしたら帰っちゃってるかもしれないし・・・・・・居ないって分かれば捜索願とか出せるし」

という事でその足で消えた友達の家に行ったそうです。

深夜でしたが、みんな直ぐに確認しなければ落ち着かず、迷惑かと思いつつも翌日まで待てませんでした。

家に着き、不躾ながら暫く呼び鈴を鳴らしていると、消えた友達の母親が出てきました。

「あ、えーと・・・スイマセン遅くに、○○居ますか?」

案の定深夜の訪問を迷惑がっている様で、母親は怪訝な顔をする

「いや、あの、一緒に居たんですけど、途中から居なくなっちゃって帰っちゃったのかなと思いまして・・・」

すると母親が

「ウチに○○なんて居ませんよ」

と言われたそうです。

そして、Bさんはこの話をここへ来て話したいと言った理由があると言いました。

これ、Bさんの他に三人の友達が体験している訳ですが、その三人、今では消えた友達の事覚えてないそうなんです。

それでBさんはやがて自分もその友達の事を忘れると確信し、何かにこの話を書くのではなく、誰かに直接あって自分の口から話したかったのだそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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