短編2
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女性Aは最近妙な電話に悩んでいた。

知らない相手から電話がかかってきて「どこにいるの」と聞いてくるのだ。Aはその度に「どなたですか?いたずらならやめて下さい!」ときつく言い、電話を切る。

こんな電話が何度もかかってきていた。

初めてその電話がかかってきた時、相手に「君かわいいよね。家はどこ?」などと突然聞かれ、Aは気持ち悪さを感じ、「もしかしてストーカーかもしれない」と思った。

今となっては「今どこ?」「何食べてる?」「彼氏は?」などと、さらにプライベートな事をしつこく聞いてくるようになった。

そしてまた電話がかかってきた。

A「もういい加減にして下さい!警察に電話しますよ!」

相手「君今日の朝、電車で僕の隣に座ってたね。かわいかったな〜」

Aは「こいつはストーカーに間違いない!」と思ったと共に、もうひとつ思った事があった。

ストーカーが自分にさらに近付いているような気がしたのだ。

いつもは、「君、今日は隣にいたね」などと言ってこないのに、今日は何故、隣にいたなどと言ってきたのか。

Aは、ストーカーが自分にさらに近付いた事を伝える為に今回「隣に座ってた」と言ってきたのだと思った。

Aは怖くなり電話を切った。

A「次相手から電話がかかってきたら警察に電話しよう」

Aはそう決めた。

そして次の日の夜、Aが部屋で調べ物をしていた時だった。

プルルルル プルルルル

電話が鳴った。

A「またあなたですね。今日は警察に電話しますから。」

相手「いや〜大変だったなぁ〜鍵開けるの。」

A「は?」

相手「この部屋暗いな。とても怖いよ…暗くて怖いよぉ〜」

A「あなた何言ってるんですか?とにかく警察に電話しますから。あなたの居場所を言って下さい!!」

相手「嫌だな〜警察なんかに電話しないでよ。僕今ナイフ持ってるから警察官刺しちゃうよ。」

A「今どこにいるんですか!」

相手「隣の部屋…」

A「え?」

相手「隣の部屋」

Aは鳥肌が立った。

まさか…

Aは隣の部屋の方を見た。

自分のいる部屋と隣の部屋との間にあるスライド式の扉。

その扉の隙間から隣の部屋の暗闇が見えた。

Aは恐る恐る隣の部屋へと向かう。

スライド式の扉を開けた。

暗くて奥が見えない。

Aは部屋の奥の暗闇へと足を進めた。

Aの姿は暗闇へと消えた。

その後、Aの姿を見た者はいない。

家にもいなかったという。

警察の調べによると、Aの家の、ある部屋の窓が開いていて、そこから足跡が、見つかったという。

Aは暗闇で何を見たのか。また何に出会ったのだろうか…

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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