――俺は走っている
目的地までギリギリ間に合うかの瀬戸際だ。一分一秒を争う。
「どうですかー?」
ティッシュ配りのお姉さんだ。貰いたいが立ち止まる余裕は無い。
「キャー!ひったくりよー!」
すまん、誰か他の人に助けを求めてくれ。
「すいません道をお尋ねしたいのですが?」
ごめんなさい!急いでいるんです。
その後も何度も声をかけられた。一生に一度のモテ期なのか?悔やまれるが仕方がない。
ハアハア、あと少しだ、こんなに走ったのは久しぶりだよ。
ようやく目的地に到着した。あれ?でも不思議な事に気付いた。
どうしてこんなに急いでた?それよりも…此処に何の用事があったのか?
冷静になって考えてると…ある事に気付いた
声をかけてきた女性…一瞬一瞬しか見てないが、みんな同じ顔だった
その瞬間
キキー!ドンッ!!!
――俺は暴走車にひかれた
薄れゆく意識の中で聞こえてきた
「だからあれほど言ったのに」
怖い話投稿:ホラーテラー 春の使者さん
作者怖話