現在私は、家族を支える大黒柱として働いているのだが、七年前に実際に体験した話を投稿する。
冬の始まり頃、久しく高校の時の友達から電話が掛かってきた。
そいつとは、3年の時に同じクラスになり、音楽の話で盛り上がり、一緒にバンドなどをして、楽しく遊んでいた。
そんなある日、就職活動もほぼ終わりを迎え、皆夢に向かい、第一歩を踏み出そうという時に、そいつは理由も無しに学校を辞めていった。
当時は、なんの相談も無しに行きやがって…。
とかなり怒ったのだが、いざ久しぶりに電話が掛かってくると、怒りも忘れ、ただ懐かしい気持ちだった。
仮にAとしておく。
A「久しぶりやな、ごめんな、勝手に辞めてしまってさ。」
私「ホンマやで、あの時はムカついたで本間、でも何で?」
A「う~ん、実家が大変な事になってしまって…。おまえに別れ話なんか言うたら切れるから言わんかった…(笑)」
私「そうなんや、あの時に話してたら殴ってたかもね…(笑)」
そんな他愛もない話を1時間程話した。
そして最後のAが話す。
A「今実家に住んでいるやけどさぁ、遊びにこんか?」
私「えっ?いっていいんかいな、大変な時じゃないの?」
A「大丈夫大丈夫、もう済んだから、おいでー」
私「ほな今週末行かせてもらいまっ!」
A「まってるでーーほな!」
Aは住所を私に言い渡し電話を切った。
週末、私は予定通りAの住む家に車で向かうことにした。
ナビに住所を入れ、ナビ通りに向かうこと3時間、ようやくAの住む村に到着した。
道はかなりすいていたのに、結構時間がかかってしまった。
村の様子は、昼間だというのに人通りが無く、村を囲む山には、すでに雪が積もっていた。
村の中を探索がてら、くるまでふらふらしてみる。
人が1人も居てない…。
静か過ぎて恐怖を覚えるくらいだ。
Aの家に着いた。
チャイムを鳴らす。
ピーポン。
…。
ピーポン。
…。
(あれ?何処か行ったのかな。電話をしてみるか…)
トゥルルルル、トゥルルルル、もしもし?
私「おーAか?今着いたんやけど」
A「お、おう、着いたか、ちょまって開けるわ。」
家の玄関の扉が開く。
私はAを見た瞬間驚愕した。
昔は真ん丸して、なかなかの男前だったAが、見るも無残にガリガリに痩せ細り、肌は真っ白、やつれて痩せた顔にギョロっとした大きい目。
昔の面影は、ほとんどなく、別人ではないかと疑ったくらいだ。
しかし、Aの部屋に行くと、バンドの時にAが使っていたベースが置かれていた。
それを見た私は、Aだと確信した。
Aはお酒を取出し、2人で飲みはじめた、昔の事や、この村の事、何故そんなに痩せたのか、いろんな話で盛り上がった。
……
私はいつの間にか眠ってしまったらしい。
起きると、辺りは闇に覆われていた。
私「おーい、Aーどこ行った?」
家の中を探そうとした。
(あれ?何かおかしいな)
電気がつかないぞ!しかも、こんなに家汚かったか?
急いで外に出てみた。
相変わらず、誰も居ていない。民家の電気も全て消えている。
私はAを探すため、村を歩き始めた。
街灯もなく、家も電気が消えているため、外は真っ暗闇だ。
懐中電灯なんて物はある訳もない。
あるとしたら携帯のライトぐらい。
携帯のライトで歩く私。
辺りはしーんと、静まり返る。
スッスッスッスッス。
スッスッスッスッス。
後ろから何か音がする。
ライトを照らすが、何も見えない。
恐怖が心を侵食していく。
すると、村の外れに来たのか、大きい広場に出てきた。
すると、微かだが話し声が聞こえてくる。
私「おーいAか?」
……
(勘弁してくれよ、もう)
っとその時、凄まじい程の耳鳴りが私を襲う。
キィィイイイイイーー
すると、辺りから人?が歩いてきた。
ザッザッザッザッザッザ。
ザッザッザッザッザッザ。
それはAだった。
昼間に見たAとは、別人だった。
笑顔が絶えなかった、Aが、無表情で立っている。
私「おい?A?どうしたんや?」
A「……。」
私「おいおい、どうしたん?家帰ろうぜ。」
A「もう…帰れないんだよ?」
Aはそう言うと、凄い形相でこちらへ走ってきた!!
私「うわーーーーーー!」
私は逃げた、暗闇の中、逃げる逃げる。
A「○○ーー!!!」【私の名前】
もはやこの世のものとは思えないような声だった。
何時間逃げ回っただろうか、車を見つけた!!
ガガガ
車をあける。
手が震えて鍵が刺さらない。
バタン!
助手席にAが座っている。
私の顔をみてAは笑った。人間とは思えない顔で…
A「ハハアー」
恥ずかしながら気を失ってしまった。
目が覚めると、地元の病院にいた、医師によると、山奥の墓地の真ん中で倒れていたらしい。
私が行った村は存在していなかったのだ。
後でわかったのだが、Aの村は、昔に病気が流行り、次々に死んでいったらしい。
今は村は取り壊されて、墓地になっている。
今思えば、Aも地元に帰って、感染して死んだのかな。
私に何か伝えたかったのかな。
怖い話投稿:ホラーテラー 夢の支配者さん
作者怖話