中編4
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雪の村

現在私は、家族を支える大黒柱として働いているのだが、七年前に実際に体験した話を投稿する。

冬の始まり頃、久しく高校の時の友達から電話が掛かってきた。

そいつとは、3年の時に同じクラスになり、音楽の話で盛り上がり、一緒にバンドなどをして、楽しく遊んでいた。

そんなある日、就職活動もほぼ終わりを迎え、皆夢に向かい、第一歩を踏み出そうという時に、そいつは理由も無しに学校を辞めていった。

当時は、なんの相談も無しに行きやがって…。

とかなり怒ったのだが、いざ久しぶりに電話が掛かってくると、怒りも忘れ、ただ懐かしい気持ちだった。

仮にAとしておく。

A「久しぶりやな、ごめんな、勝手に辞めてしまってさ。」

私「ホンマやで、あの時はムカついたで本間、でも何で?」

A「う~ん、実家が大変な事になってしまって…。おまえに別れ話なんか言うたら切れるから言わんかった…(笑)」

私「そうなんや、あの時に話してたら殴ってたかもね…(笑)」

そんな他愛もない話を1時間程話した。

そして最後のAが話す。

A「今実家に住んでいるやけどさぁ、遊びにこんか?」

私「えっ?いっていいんかいな、大変な時じゃないの?」

A「大丈夫大丈夫、もう済んだから、おいでー」

私「ほな今週末行かせてもらいまっ!」

A「まってるでーーほな!」

Aは住所を私に言い渡し電話を切った。

週末、私は予定通りAの住む家に車で向かうことにした。

ナビに住所を入れ、ナビ通りに向かうこと3時間、ようやくAの住む村に到着した。

道はかなりすいていたのに、結構時間がかかってしまった。

村の様子は、昼間だというのに人通りが無く、村を囲む山には、すでに雪が積もっていた。

村の中を探索がてら、くるまでふらふらしてみる。

人が1人も居てない…。

静か過ぎて恐怖を覚えるくらいだ。

Aの家に着いた。

チャイムを鳴らす。

ピーポン。

…。

ピーポン。

…。

(あれ?何処か行ったのかな。電話をしてみるか…)

トゥルルルル、トゥルルルル、もしもし?

私「おーAか?今着いたんやけど」

A「お、おう、着いたか、ちょまって開けるわ。」

家の玄関の扉が開く。

私はAを見た瞬間驚愕した。

昔は真ん丸して、なかなかの男前だったAが、見るも無残にガリガリに痩せ細り、肌は真っ白、やつれて痩せた顔にギョロっとした大きい目。

昔の面影は、ほとんどなく、別人ではないかと疑ったくらいだ。

しかし、Aの部屋に行くと、バンドの時にAが使っていたベースが置かれていた。

それを見た私は、Aだと確信した。

Aはお酒を取出し、2人で飲みはじめた、昔の事や、この村の事、何故そんなに痩せたのか、いろんな話で盛り上がった。

……

私はいつの間にか眠ってしまったらしい。

起きると、辺りは闇に覆われていた。

私「おーい、Aーどこ行った?」

家の中を探そうとした。

(あれ?何かおかしいな)

電気がつかないぞ!しかも、こんなに家汚かったか?

急いで外に出てみた。

相変わらず、誰も居ていない。民家の電気も全て消えている。

私はAを探すため、村を歩き始めた。

街灯もなく、家も電気が消えているため、外は真っ暗闇だ。

懐中電灯なんて物はある訳もない。

あるとしたら携帯のライトぐらい。

携帯のライトで歩く私。

辺りはしーんと、静まり返る。

スッスッスッスッス。

スッスッスッスッス。

後ろから何か音がする。

ライトを照らすが、何も見えない。

恐怖が心を侵食していく。

すると、村の外れに来たのか、大きい広場に出てきた。

すると、微かだが話し声が聞こえてくる。

私「おーいAか?」

……

(勘弁してくれよ、もう)

っとその時、凄まじい程の耳鳴りが私を襲う。

キィィイイイイイーー

すると、辺りから人?が歩いてきた。

ザッザッザッザッザッザ。

ザッザッザッザッザッザ。

それはAだった。

昼間に見たAとは、別人だった。

笑顔が絶えなかった、Aが、無表情で立っている。

私「おい?A?どうしたんや?」

A「……。」

私「おいおい、どうしたん?家帰ろうぜ。」

A「もう…帰れないんだよ?」

Aはそう言うと、凄い形相でこちらへ走ってきた!!

私「うわーーーーーー!」

私は逃げた、暗闇の中、逃げる逃げる。

A「○○ーー!!!」【私の名前】

もはやこの世のものとは思えないような声だった。

何時間逃げ回っただろうか、車を見つけた!!

ガガガ

車をあける。

手が震えて鍵が刺さらない。

バタン!

助手席にAが座っている。

私の顔をみてAは笑った。人間とは思えない顔で…

A「ハハアー」

恥ずかしながら気を失ってしまった。

目が覚めると、地元の病院にいた、医師によると、山奥の墓地の真ん中で倒れていたらしい。

私が行った村は存在していなかったのだ。

後でわかったのだが、Aの村は、昔に病気が流行り、次々に死んでいったらしい。

今は村は取り壊されて、墓地になっている。

今思えば、Aも地元に帰って、感染して死んだのかな。

私に何か伝えたかったのかな。

怖い話投稿:ホラーテラー 夢の支配者さん  

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